NFT音楽・ミュージックとは?特徴や日本・海外の事例を解説!

NFT音楽・ミュージックとは、楽曲やライブの映像などのデジタル音楽コンテンツの所有権を表すNFTのことです。所有権をNFT化すると、所有者へのロイヤリティ配分や、コミュニティ参加権の役割を果たすなど、さまざまな用途に対応できるようになります。

今回の記事では、NFT音楽の日本・海外の事例を参照しながら、特徴を解説していきます。

NFT音楽の特徴

プログラマビリティ

NFT音楽・ミュージックとは、楽曲やライブの映像などのデジタル音楽コンテンツの所有権を表すNFTのことです。これにより、音楽作品がデジタル上での一点物として扱われ、アーティストは自分の作品を限定品として販売したり、所有者へロイヤリティを還元したりすることができます。

NFT音楽の主なメリットはいくつかあります。まず、作品の希少性を高められる点です。楽曲をNFT化すると、流通量の上限を設定するなど、作品の希少性を高める設計が可能です。同時に、NFT音楽市場がNFTアートNFTゲームに比べてまだ事例が少ない発展途上の市場であることも、希少性を高めることに貢献するでしょう。

2つ目は、作品が再販される際にもアーティストが収益の一部を得られるように設定できることです。従来、デジタル音源をコピーして再販することは、アーティストへの著作権侵害となり認められていません。一方で、NFT音楽ではデジタル音源が再販される際に、アーティストが2次流通時の手数料や取引数量の制限を設定できる「プログラマビリティ」という性質があり、2次流通が認められている場合が多いです。これにより、アーティストは新しい収益モデルを構築できます。

また、NFT音楽の場合、ファンは単に音楽を聴くだけでなく、作品の所有者としてアーティストとより深い関係を築けます。これにより、ファンはアーティストの創造的なプロセスにより密接に関与し、アーティストはファンの支持を直接的に感じられるようになるでしょう。

NFT音楽の事例

2023年現在、NFT音楽の市場は発展途上ですが、すでに著名なアーティストの事例があります。ここでは、特に有名な事例を紹介します。

小室哲哉のアルバム未収録デモ『All sessions about JAZZY TOKEN』のNFT音楽

引用:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000457.000030257.html)

『All sessions about JAZZY TOKEN』は、2021年10月に音楽活動を再開した小室哲哉氏が同年11月にファンクラブ限定のアナログレコードとしてリリースした最新アルバム『JAZZY TOKEN』全9曲に収録されなかった未収録デモ曲全18作品からなるNFT音楽です。 2022年7月にオークションが開催されました。

購入者には、保有者限定コンテンツとして、アルバム未収録デモ各曲のフルサイズ音源に加えて、各曲のリズムトラックが抜かれた「Piano Only」のステムデータが特典として付与されます。

ジャスティンビーバー『COMPANY』のNFT音楽

出典:anotherblock - Justin Bieber

ジャスティンビーバー『COMPANY』のNFTは、音楽テクノロジープラットフォームのアナザーブロックが販売しているNFT音楽です。2023年9月に2,000個限定で販売されました。

NFTを購入したファンは、SpotifyやAppleMusicなどのストリーミング再生のうち1%にあたるロイヤリティーシェアに参加できます。『COMPANY』はシングルとして最初にリリースされて以来、5億回以上もストリーミング再生されている人気楽曲であるため、注目を集めました。

リアーナ『BITCH BETTER HAVE MY MONEY』のNFT音楽

出典:anotherblock - Rihannaanotherblock - Rihanna

リアーナ『BITCH BETTER HAVE MY MONEY』のNFTは、音楽テクノロジープラットフォームのアナザーブロックが販売しているNFT音楽です。2023年2月に300個限定で販売されると、数分で完売するほど注目を集めました。

『BITCH BETTER HAVE MY MONEY』は、Spotifyで6億回以上再生されている人気楽曲です。購入者にはロイヤリティとして、『BITCH BETTER HAVE MY MONEY』ストリーミング再生のうち0.0033%を所有する権利が与えられます。

NFT音楽の買い方

NFT音楽は、主にNFTマーケットプレイスを通して購入できます。ここでは、OpenSeaを例にNFT音楽の購入方法をご紹介します。

NFT音楽の買い方

  • ①決済通貨の確認:OpenSeaで購入したいNFTの決済通貨と価格を確認します。
  • ②暗号資産の準備:暗号資産取引所で決済用の暗号資産を用意します。 イーサリアム(ETH)やポリゴン(MATIC)が一般的に使用されます。
  • ③ウォレットの準備: ウォレットを用意し、OpenSeaと連携します。これにより、購入プロセスがスムーズに進行します。 ウォレットには、MetaMaskを使用することが多いです。
  • ④NFT音楽の購入: 気に入ったNFTを見つけたら、購入手続きを進めます。購入方法は、直接購入やオークション形式があります。

OpenSeaやMetaMaskの使い方は以下の記事をご覧ください。

NFT音楽の作り方・売り方

DAW(Digital Audio Workstation)を使用してデジタル音源を作成すれば、簡単にNFT音楽を出品できます。興味のある方は、以下の手順を参考にNFT音楽を作成してみてください。

NFT音楽の作り方・売り方

  • ①音楽制作: まずは、通常のデジタル音源を作成します。DAWを使用して、あなたの音楽を作り上げましょう。Apple製品であれば、GarageBandというDAWが初期設定でインストールされています。
  • ②NFTマーケットプレイスへのアップロード: 作成した音楽データをNFTマーケットプレイスにアップロードします。代表的なフォーマットはMP3、WAV、OGGです。
  • ③NFTの詳細設定: 作品の内容や情報を詳細に記入し、販売形式や価格を設定します。代表的なNFTマーケットプレイスであるOpenSeaでは、固定価格、オークション、バンドル販売などが選択可能です。

NFT音楽の今後

NFT音楽は、所有者へのロイヤリティ配分や、コミュニティ参加権の役割など、さまざまな用途に対応できます。さらに、NFT音楽は唯一無二な性質を持っていることから、コアなファン層のコレクション欲を刺激できます。そのため、メジャーなアーティストはもちろん、インディーズのアーティストのマネタイズ方法としてNFT音楽が普及していく可能性があります。

今後は、著名なアーティストの参画や、ユニークな使用方法が話題になることで、市場の発展に期待できます。OpenSeaなど、大手NFTマーケットプレイスでの取引量を1つの指標として注視すると良いでしょう。

NFT音楽の普及は、音楽業界における著作権管理の透明性を高める可能性を秘めています。ブロックチェーンの技術により、作品の制作者と所有権の履歴が明確に記録されるため、著作権侵害のリスクを減らし、アーティストの権利を守れます。これは、特に音楽作品が容易にコピーされる環境でもあるデジタル時代において、アーティストにとって大きなメリットとなるでしょう。

最後に、NFT音楽は音楽業界における新しいビジネスモデルとなる可能性があります。従来の音楽配信サービスやCD販売に代わる新しい収益源として、NFT音楽はアーティストにとって重要な役割を果たすと予想されます。NFT音楽の未来は、技術の進化、市場の成熟、そしてアーティストとファンの受容によって形成されていくことでしょう。NFT音楽は、音楽業界における革新的な変化をもたらす可能性を秘めています。