Net Assets
Net Assets
Show in header
 Net Assets
¥ {{ $filters.cut_decimal_zero($filters.number(balance.net_assets.jpy, 1)) }}

Available

In Use

{{ cur.toUpperCase() }}
¥ {{ $filters.cut_decimal_zero($filters.number(balance.coincheck.available[cur])) }}
¥ {{ $filters.cut_decimal_zero($filters.number(balance.coincheck.in_use[cur])) }}
Net Assets
Show in header
 Net Assets
¥ {{ $filters.cut_decimal_zero($filters.number(balance.net_assets.jpy, 1)) }}

Available

In Use

{{ cur.toUpperCase() }}
¥ {{ $filters.cut_decimal_zero($filters.number(balance.coincheck.available[cur])) }}
¥ {{ $filters.cut_decimal_zero($filters.number(balance.coincheck.in_use[cur])) }}
オンチェーン分析を元にしたCoincheckのレポートを一覧で表示しています。

カテゴリー: Coincheck Prime Onchain Report

本レポートでは、米証券大手Robinhoodが開発する独自レイヤー2(L2)ブロックチェーン「Robinhood Chain」を取り上げます。 Robinhoodは2013年に米国で創業したオンライン証券会社です。手数料無料の株式取引を武器に、ミレニアル世代やZ世代を中心に利用者を拡大し、2018年には暗号資産取引サービスへ参入しました。近年では株式トークンや暗号資産サービスの拡充を進めるとともに、株式などのトークン化資産(RWA)の取引・保有・活用をオンチェーンへ広げる構想を打ち出しています。こうした取り組みの一環として、Robinhoodは2025年6月にRobinhood Chainの構想を発表し、2026年7月にはメインネットを公開しました。 以下では、公式発表や市場分析に加え、オンチェーン分析ツール「Dune Analytics」などから取得したデータをもとに、Robinhood Chainの利用実態を整理します。そのうえで、証券会社が独自ブロックチェーンを展開する狙いと、金融市場への示唆を考察します。 なお本記事は情報提供を目的とした調査・解説であり、特定の金融商品や暗号資産への投資を勧誘するものではありません。 このレポートでわかること 「Robinhood Chain」とは何か、Robinhoodの金融サービス全体でどのような役割を担うのか オンチェーンデータから見える利用者・取引・資産の実態と、株式トークンの利用状況 証券会社が独自ブロックチェーンを展開する意味と、金融業界・日本市場への示唆 Coincheckの無料登録はこちら 目次 Robinhoodとは Robinhoodの歴史 Robinhoodの現在地とこれから 独自L2「Robinhood Chain」とは 金融事業者はなぜチェーンを自前で持ちたがるのか Robinhood Chainの展望と可能性の考察 数字で読むRobinhood Chainの全体像 どのような資産が積み上がっているか 誰が使っているのか 何が利用を支えているのか ネットワーク収益要因の分析 トークン化資産の利用状況 Robinhood Chainの現状評価 金融事業者が独自ブロックチェーンを持つ意味 免責事項 References Robinhoodとは Robinhood(ロビンフッド)は、2013年に米国で創業したオンライン証券会社です。株式取引手数料を無料化した「コミッションフリー」のビジネスモデルを武器に、従来の証券会社が十分に取り込めていなかったミレニアル世代やZ世代を中心に利用者を拡大しました。 2018年には暗号資産取引サービスへ参入し、その後もオプション取引や先物取引、高金利の預金サービス、クレジットカード、サブスクリプションサービス「Robinhood Gold」、予測市場などへ事業領域を拡大しています。現在では株式や暗号資産をはじめ、さまざまな金融サービスを一つのアプリで提供するプラットフォームへと成長しています。 Robinhoodの歴史 Robinhoodは2013年に創業し、2015年に手数料無料の株式取引サービスを開始しました。当時、米国では株式売買に手数料を支払うことが一般的でしたが、同社はコミッションフリーという新たなビジネスモデルを打ち出し、ミレニアル世代やZ世代を中心に急速に利用者を拡大しました。2018年には暗号資産取引サービスへ参入し、株式だけでなく暗号資産も一つのアプリで取引できる投資プラットフォームへと発展しました。 2020年から2021年にかけては、「GameStop(ゲームストップ)」などのミーム株ブームの中心的な取引プラットフォームとして世界的な注目を集めました。一方で、決済機関への証拠金負担の増加を受け、一部銘柄の取引を一時制限したことから大きな議論を呼びました。同年にはナスダックへ上場し、個人投資家を代表するオンライン証券会社として存在感を高めました。 その後は暗号資産市場の低迷や規制環境の変化にも対応しながら事業を拡大し、2025年には暗号資産取引所Bitstamp(ビットスタンプ)を買収しました。また、欧州では株式トークン(Stock Tokens)の提供を開始したほか、予測市場「Rothera(ロセラ)」や独自レイヤー2ブロックチェーン「Robinhood Chain」を発表するなど、近年も新たな金融サービスやインフラの展開を進めています。 Robinhoodの現在地とこれから Robinhoodは現在、自社を単なるオンライン証券会社ではなく、「金融スーパーアプリ(Financial Super App)」へ進化させることを目指しています。 現在のRobinhoodは、一つのアプリ上で株式・ETF、オプション、暗号資産、先物、予測市場、銀行サービスなど幅広い金融サービスを提供しています。同社の収益も、株式や暗号資産の取引関連収益だけでなく、顧客預かり資産から得られる金利収入(Net Interest Revenue)、有料会員サービス「Robinhood Gold」のサブスクリプション収益、クレジットカードなど、多様な収益源によって支えられています。 一方で、これまでRobinhoodは顧客との接点(フロントエンド)は保有していたものの、取引や決済を支えるインフラの多くは外部事業者へ依存してきました。例えば、株式取引では証券市場や決済機関、暗号資産ではパブリックブロックチェーン、予測市場では外部取引所などがそれぞれ重要な役割を担っており、そのたびに手数料や収益の一部を外部へ支払う構造となっていました。 近年のRobinhoodは、この構造を見直しています。具体的には、Bitstampの買収による暗号資産取引基盤の獲得、予測市場「Rothera」の立ち上げ、欧州での株式トークン(Stock Tokens)の提供、独自レイヤー2ブロックチェーン「Robinhood Chain」の開発などです。これらはいずれも、これまで外部事業者へ依存していた取引・決済・資産管理などの機能を自社グループ内へ取り込む取り組みと位置付けられます。 Robinhoodは金融サービスを拡充しているだけでなく、それらを支えるインフラまで自社で保有することで、金融サービス全体を垂直統合(Vertical Integration)する企業への転換を進めています。その中心的な役割を担うのが、独自レイヤー2ブロックチェーン「Robinhood Chain」です。 同チェーンは単なるブロックチェーンではなく、株式などのトークン化資産(RWA)の発行・保有・取引・決済を支える共通インフラとして構想されています。Robinhood Chainを理解するには、チェーン単体ではなく、Robinhood全体の事業戦略の中で捉えることが重要になるでしょう。 独自L2「Robinhood Chain」とは Robinhood Chainは、Robinhoodが開発したEthereumのレイヤー2(L2)ブロックチェーンです。同チェーンは、基盤技術として「Arbitrum Orbit」を採用しています。Arbitrum Orbitは、Ethereum向けL2ソリューション「Arbitrum」のロールアップ技術を活用し、企業や開発者が用途に応じた独自のブロックチェーンを構築できるフレームワークです。 Robinhoodの2025年6月の発表によると、Robinhood Chainでは株式トークンの発行・保有・取引基盤となることが想定されています。まずは欧州で提供されている株式トークンを対象とする方針が示されており、2026年8月時点でも米国株を同チェーン上で取り扱う計画は公式には発表されていません。こうした段階的な展開の背景には、米国と欧州における規制環境の違いなどがあると考えられます。 また、将来的には未公開株や社債など、より幅広い金融資産のオンチェーン化も構想されています。さらに、セルフカストディ型ウォレットへの対応や24時間365日の取引環境など、ブロックチェーンの特性を活かした金融サービスの提供も目指しています。 このようにRobinhood Chainは、株式トークンをはじめとするトークン化資産を支える基盤として発表されています。 金融事業者はなぜチェーンを自前で持ちたがるのか Robinhoodによる独自ブロックチェーンの開発は、特殊な事例ではありません。近年では、暗号資産取引所や金融事業者が独自ブロックチェーンを開発する動きが広がっています。 代表例として、Coinbaseは独自L2「Base」、Krakenは「Ink」を立ち上げています。いずれもEthereumのL2として構築されており、自社サービスとの連携を前提に、高速かつ低コストな取引環境を提供しています。 こうした動きについては、「シーケンサー収益を得ること」が主な目的として語られることがあります。EthereumのL2では、ネットワーク上の取引を取りまとめる「シーケンサー」が取引手数料(ガス代)を受け取り、Ethereumへのデータ投稿費用などを差し引いた収益を得る仕組みとなっているためです。 オンチェーン分析プラットフォーム「Token Terminal」のデータによると、Coinbaseが運営するBaseでは、2026年第2四半期のネットワーク収益(Revenue)は約1,090万ドルとなっています。一方で、Coinbaseが公表した同四半期の売上高は約12.2億ドルであり、ネットワーク収益が占める割合は約0.9%にとどまります。このような状況を踏まえると、独自チェーンが継続的な収益を生み出す可能性はあるものの、現時点ではそれだけで取引所が独自チェーンを開発する理由を説明するのは難しいでしょう。 むしろ重要なのは、「垂直統合(Vertical Integration)」という考え方です。これまで取引所はユーザーとの接点を持ちながらも、ブロックチェーンや決済基盤などのインフラは外部事業者へ依存してきました。しかし、自社でブロックチェーンを保有すれば、決済や資産管理、アプリケーション基盤まで自社グループ内で保有できるようになります。これにより、外部事業者へ支払っていた手数料の一部を自社グループへ取り込めるだけでなく、サービス同士をシームレスに連携させ、新機能や新サービスを迅速に開発しやすくなります。 実際、Baseはネットワーク収益を生み出すだけでなく、USDCやCoinbase Walletを通じてCoinbaseのオンチェーンサービス全体を支える基盤としても機能しています。つまり、独自チェーンの価値はネットワーク収益そのものよりも、自社サービス全体を支える共通インフラとして機能する点にあると考えられます。 Robinhood Chainも、こうした業界全体の流れの中で誕生した独自チェーンの一つと位置付けられます。 Robinhood Chainの展望と可能性の考察 ただし、Robinhoodが目指しているのは、単に株式トークンを動かすためのブロックチェーンを保有することだけではない可能性があります。 Robinhoodの公式発表では、Robinhood Chainは株式トークンをはじめとするトークン化資産(RWA)の基盤として紹介されています。また、同社は「金融スーパーアプリ」の実現を掲げており、株式、暗号資産、予測市場、銀行サービスなど、多様な金融サービスを一つのプラットフォームで提供しています。 こうした事業戦略を踏まえると、将来的にはこれらのサービスをRobinhood Chain上へ段階的に統合していく可能性も考えられます。その場合、Robinhood Chainは株式トークン向けのブロックチェーンにとどまらず、金融サービス全体を支える共通の決済・資産管理基盤(Settlement Layer)として機能することになります。 例えば、株式トークンに加え、暗号資産、ステーブルコイン決済、予測市場などが同じ基盤上で展開されれば、ユーザーは複数の金融サービスをシームレスに利用できるようになります。また、Robinhood自身もサービス間の連携を強化しながら、新たな金融商品の開発や機能追加をより迅速に進められる可能性があります。 もちろん、現時点でRobinhoodがこうした構想を公式に明らかにしているわけではありません。しかし、Robinhoodが掲げる金融スーパーアプリ構想や、近年進めている垂直統合戦略を踏まえると、Robinhood Chainを金融サービス全体を支える共通基盤として位置付ける見方には一定の合理性があります。 では、Robinhood Chainは現時点でどのように利用されているのでしょうか。次章では、オンチェーンデータをもとに、その利用実態を見ていきます。 数字で読むRobinhood Chainの全体像 どのような資産が積み上がっているか Robinhood Chainでは、7月以降にプロトコル預かり資産(TVL)が急速に拡大しています。データプロバイダーごとにTVLの集計対象や定義は異なるものの、いずれのデータでもローンチ後に資産流入が継続している点は共通しています。そのため、本レポートではTVLの絶対額よりも、資産流入の推移や資産構成の変化に注目します。 なお、TVLの絶対額には集計方法による差があります。2026年8月時点では、オンチェーンデータサイト「DeFiLlama」で約4.8億ドル、Entropy Advisors作成のDuneダッシュボード「Protocol TVL」では約8.8億ドルとなっており、両データには大きな乖離が見られます。 もっとも、両データに共通しているのは、Robinhood Chainのローンチ後にTVLが一貫して増加している点です。つまり、絶対額の定義には差があるものの、ネットワークへ資産が継続的に流入しているという方向性は共通しています。そのため、本レポートではTVLの絶対額そのものよりも、資産流入の推移や資産構成の変化に注目します。 ※本レポートで掲載するTVLや資産分類は、Entropy Advisors作成のDuneダッシュボードを基準としています。DeFiLlamaなど他のデータプロバイダーとは集計対象や定義が異なるため、数値は一致しません。 ※「Asset Landscape」のRWAカテゴリーは、Robinhood Chain上のすべての株式トークンやRWA関連資産を包括的に示すものではありません。約3,000万ドルという数値は、あくまで同ダッシュボード上のRWAカテゴリーの残高を示しています。 データ出典:DeFiLlama、Dune(Entropy Advisors) Robinhood ChainのTVL推移(出典:DeFiLlama) Robinhood ChainのTVL推移(出典:Dune Analytics、Entropy Advisors作成ダッシュボード) 誰が使っているのか Robinhood Chainでは、7月上旬を境に利用者数とトランザクション数が急速に拡大しています。日次トランザクション数は、7月前半まで数十万件規模で推移していましたが、その後は一気に700万~1,000万件前後まで増加し、8月上旬には1,400万件近くまで拡大しました。ピーク後はやや落ち着いたものの、足元でもおおむね900万~1,200万件前後の水準を維持しており、ローンチ直後の一時的な盛り上がりにとどまらず、高い利用水準が続いています。 日次トランザクション数の推移(出典:Dune Analytics) アクティブアドレス数も同様に7月上旬から急増し、その後は20万~35万アドレス程度で推移しています。特徴的なのは、新規アドレスと既存アドレスの双方が一定規模で維持されている点です。既存アドレス数はおおむね15万~20万前後で安定して推移しており、一度利用したアドレスが継続的にネットワーク上で活動している様子が確認できます。一方で、新規アドレスも毎日一定数流入しており、8月上旬には再び大きく増加する日も見られました。 アクティブアドレスの推移を見る限りでは、既存アドレスの利用が維持される一方、新規アドレスも継続的に流入していることが確認できます。ローンチ直後のブームが完全に収束したというよりは、新たな利用者を呼び込みながら一定数の既存ユーザー基盤も維持している状況がうかがえます。 アクティブアドレス数の推移(出典:Dune Analytics) 何が利用を支えているのか Robinhood Chainの利用拡大を支えている大きな要因の一つが、ローンチパッドを起点としたミームコイン取引です。日次DEX(分散型取引所)取引高は7月上旬に急拡大し、その後も数億ドル規模で推移しています。日による変動は大きいものの、7月以降は高い取引活動が継続しています。 日次DEX取引高の推移(出典:Dune Analytics) DEX取引高の内訳を見ると、ローンチパッド発行トークンが市場の大きな割合を占めています。ローンチパッド発行トークンの多くはミームコインとみられ、新規トークン発行数も7月中旬以降に大きく増加しました。複数のローンチパッドから毎日数万件規模の新規トークンが発行されており、その増加時期に合わせてローンチパッド発行トークンの取引高も拡大しています。 新規トークン発行数の推移(出典:Dune Analytics) 実際、DEX取引高に占めるローンチパッド発行トークンの割合は、おおむね3〜5割程度で推移しています。ETHなど既存資産の取引も大きい一方、ローンチパッド発行トークンがDEX市場の主要な取引対象の一つとなっていることが分かります。 DEX取引高に占めるローンチパッド発行トークンの割合(出典:Dune Analytics) つまり、現在のRobinhood Chainでは、既存資産の売買に加えて、新たに発行されるミームコインを巡る取引が活発に行われています。新規トークンの発行が増えた時期には、その売買も活発化しており、DEX取引高が高い水準で推移する背景の一つになっていると考えられます。 一方で、この構造は今後の成長を見るうえで注意すべきポイントでもあります。ミームコイン市場は投機的な性質が強く、市場環境によって取引量が大きく変動します。現在の高い利用水準は、ローンチパッドを起点としたミームコイン取引に大きく支えられている可能性があります。そのため、中長期的な成長を実現するには、株式トークンやRWA、DeFiなど、ミームコイン以外のユースケースがどこまで利用を拡大できるかが重要なポイントになるでしょう。 ミームコイン取引の推移(出典:Dune Analytics) ※本レポートのDEX取引高は、Uniswap V2/V3/V4上の取引を集計対象としており、Robinhood Chain上のすべてのDEXを網羅するものではありません。一方で、現時点では主要なDEX取引の多くがUniswap V2/V3/V4に集中していると考えられることから、市場全体の動向を把握するための代表的な指標として利用しています。 ※「Launchpad発行トークン」は各ローンチパッドから発行されたトークンを指します。本レポートでは、その多くがミームコインとみられることから、ミームコイン取引の近似値として分析しています。 ※新規トークン発行数とDEX取引高には同時期の増加が確認できますが、本データのみから両者の因果関係を直接示すものではありません。 ネットワーク収益要因の分析 ここまでの分析から、Robinhood Chainではローンチパッドを起点としたミームコイン取引がネットワーク利用を押し上げていることが分かりました。では、その活発な利用は実際にネットワークの収益へ結び付いているのでしょうか。ここでは、ネットワーク全体の手数料収益・トランザクション数と、主要DEXの取引高をBaseと比較しながら、Robinhood Chainの収益構造を確認します。 まず、日次ネットワーク手数料収益を見ると、Robinhood Chainは7月上旬以降に急速に収益を拡大しています。特に7月中旬から下旬にかけてはBaseを上回る日が多く、ピーク時にはBaseの数倍規模の手数料収益を記録しました。短期間ながら高い手数料収益を生み出していたことが確認できます。 日次ネットワーク手数料収益の比較(出典:Dune Analytics) 一方、日次DEX取引高を比較すると、Robinhood ChainはBaseと同程度、あるいは下回る日も少なくありません。それにもかかわらず、手数料収益ではBaseを上回る場面が多く見られました。 日次DEX取引高の比較(出典:Dune Analytics) その背景を探るためにトランザクション数を見ると、7月中旬以降はBaseと同程度、あるいは上回る日も多く見られます。また、「DEX取引高100万ドル当たりトランザクション数」を比較すると、Robinhood ChainはBaseよりも高い水準で推移しています。つまり、同程度のDEX取引高を生み出すために、より多くのオンチェーントランザクションが発生している構造であることが分かります。前項で確認したように、ローンチパッドで発行されたミームコインの売買が活発だったことが、この特徴の背景にあると考えられます。 DEX取引高100万ドル当たりトランザクション数の比較(出典:Dune Analytics) さらに、1トランザクション当たり平均手数料を見ると、Robinhood Chainは7月中旬から下旬にかけてBaseを大きく上回っています。トランザクション数が多かったことに加え、1件当たりの平均手数料も高い水準で推移したことが、ネットワーク全体の手数料収益を押し上げた要因の一つと考えられます。ミームコイン取引が活発だった時期には、ネットワーク利用の増加などを背景に平均手数料も上昇し、結果として手数料収益の拡大につながった可能性があります。 1トランザクション当たり平均手数料の比較(出典:Dune Analytics) 1トランザクション当たり平均手数料の比較(出典:Dune Analytics) ※日次ネットワーク手数料収益は、ガス使用量とガス価格から算出したネットワーク全体の手数料収益です。シーケンサーやRobinhoodの利益を直接示すものではありません。 ※日次トランザクション数は、成功・失敗の両方のトランザクションを含みます。そのため、実際の成功取引件数とは一致しません。 ※日次DEX取引高は、Robinhood ChainおよびBase上のすべてのDEXを完全に網羅したものではなく、主要DEXを対象に集計しています。 ※「DEX取引高100万ドル当たりトランザクション数」は、同じDEX取引高を生み出すためにどれだけ多くのオンチェーントランザクションが発生したかを示す参考指標です。ネットワークの優劣や効率性を直接示す指標ではありません。 トークン化資産の利用状況 Robinhoodは、Robinhood Chainを株式トークンをはじめとするトークン化資産を支える基盤として位置付けています。しかし、ローンチ初期のオンチェーンデータを見る限り、実際のネットワーク利用を支えているのは、株式トークンなどのRWAよりも、ローンチパッドで発行されたミームコインを中心とする取引です。 トークン化資産残高はローンチ以降一貫して増加しており、7月末には約2,700万ドルまで拡大しました。2026年8月時点では約3,000万ドルに達しています。内訳を見ると株式トークンが大半を占める一方、ETFや米国債、コモディティについても残高が徐々に積み上がっており、取り扱う資産の種類は着実に広がっています。 トークン化資産残高の推移(出典:Dune Analytics) 一方、日次取引高を見ると、株式トークン単体の取引も継続的に行われているものの、ミームコインとのスワップ取引が大きな割合を占める日も多く見られます。現時点では、トークン化資産の取引は拡大しつつある一方で、その利用はミームコイン市場との相互作用に大きく支えられている状況と言えるでしょう。 この結果は、Robinhood ChainがRWA基盤として失敗していることを意味するわけではありません。株式やETFなどのトークン化資産は、発行体や流動性、市場参加者の拡大に時間を要する一方、ミームコインは短期間で利用を集めやすい特徴があります。そのため、ネットワークの立ち上げ期に投機的な取引が利用を牽引する構図は、他のブロックチェーンでも見られる現象です。 トークン化資産の日次取引高(出典:Dune Analytics) ※本章で集計しているトークン化資産は、Robinhoodが発行した株式・ETF・コモディティ・米国債トークンを対象としており、Robinhood Chain上のすべてのRWAを網羅したものではありません。 ※「ミームコイン×株」は、株式トークンとローンチパッド発行トークン(主にミームコイン)のスワップ取引を示しています。株式トークン単体の売買とは区別して集計しています。 Robinhood Chainの現状評価 Robinhood Chainは、株式トークンをはじめとするトークン化資産(RWA)の基盤として発表されました。しかし、ローンチから約1ヶ月間のオンチェーンデータを分析すると、現時点の利用実態は、そのイメージとは大きく異なっています。 TVLやトークン化資産残高は着実に積み上がっているものの、ネットワーク全体の利用を牽引しているのは株式トークンではなく、ローンチパッドを通じて発行されたミームコインです。DEX取引高の多くはミームコイン取引によって構成され、それに伴うトランザクション数の増加がネットワーク手数料収益を押し上げていました。 この状況については、解釈によって評価が分かれるところでしょう。しかし、本レポートでは、この状況を単純に「RWA戦略が機能していない」と評価するのは適切ではないと考えます。なぜならブロックチェーンでは、まず流動性を獲得し、その上にアプリケーションや実需が形成されるケースが少なくありません。EthereumやSolana、Baseなどでも、リテールユーザーの投機需要が初期の流動性を支え、その後のエコシステム拡大につながってきました。今回の分析結果も、Robinhood Chainが同様のプロセスをたどっている可能性を示しているように見受けられます。 実際、Robinhood ChainではBaseと同程度のDEX取引高でありながら、より多くのトランザクションが発生し、ネットワーク手数料収益もBaseを上回る日が多く確認されました。また、オンチェーン分析プラットフォーム「Token Terminal」が公表するネットワーク収益の推移は、本レポートで分析したネットワーク手数料収益の推移とも概ね整合しています。同データによると、Robinhood Chainはローンチ後約1ヶ月(2026年8月時点)で約410万ドルのネットワーク収益を計上しています。 現在の収益水準を単純に年率換算すると約4,900万ドル規模となります。また、この収益ペースが3ヶ月継続したと仮定すると約1,230万ドルとなり、Robinhoodが公表した2026年第2四半期総純収益13.1億ドルの約0.9%に相当します。現時点ではRobinhood全体から見ればまだ小さな事業ですが、ローンチから約1ヶ月という短期間でここまで収益を積み上げた点は注目に値します。 つまり、今回のオンチェーンデータから見えてきたRobinhood Chainの実像は、「RWAチェーン」として完成した姿ではなく、将来の金融サービスを支えるための流動性を獲得し、その流動性をネットワーク収益へ転換しているチェーンというものです。そして、その土台の上で株式トークンなどのトークン化資産を段階的に拡大していく戦略を描いている可能性があります。 金融事業者が独自ブロックチェーンを持つ意味 今回の分析で最も興味深かったのは、金融事業者が独自ブロックチェーンを保有する意味が、オンチェーンデータから少し見えてきたことです。 これまで独自チェーンの意義は、「シーケンサー収益を得られること」と説明されることが少なくありませんでした。しかし、Robinhood全体の売上に対して現在のネットワーク収益は約1%程度と推計されており、現時点ではそれだけで独自チェーンの価値を説明することはできません。 一方で、今回の分析からは別の姿が見えてきました。ブロックチェーンでは、流動性が集まればトランザクションが増え、トランザクションが増えればネットワーク収益が生まれます。Robinhood Chainでは、ミームコインを中心とした投機需要が流動性を生み、その流動性がネットワーク収益へ転換されていました。これは、ネットワークそのものが収益を生み出す金融インフラとして機能し始めていることを示しています。 さらに重要なのは、その流動性をどのように活用するかです。現在はミームコイン取引がネットワーク利用の中心ですが、将来的に株式トークンやETF、未公開株、ステーブルコイン決済、予測市場などが同じネットワーク上へ統合されれば、Robinhood Chainは単なるRWAチェーンではなく、同社が掲げる金融スーパーアプリ全体を支える共通インフラとして機能する可能性があります。 本レポートでは、独自ブロックチェーンの本当の価値は、シーケンサー収益そのものではなく、「流動性を獲得できること」にあると考えます。流動性が集まれば、ネットワーク収益が生まれ、開発者やアプリケーションが集まり、さらに金融サービスの選択肢も広がっていきます。今回の分析から見えてきたのは、Robinhood Chainがまさにその第一段階にあるという姿です。 この視点は、日本の金融業界にも重要な示唆を与えます。今後の競争は、「どの資産をトークン化するか」だけではなく、「どのように流動性を獲得し、その流動性を継続的なネットワーク収益へ転換し、最終的に金融サービス全体へ結び付けられるか」というネットワーク戦略そのものへ移っていく可能性があります。 Robinhood Chainはまだローンチ初期段階にあります。しかし今回のオンチェーンデータは、金融事業者が独自ブロックチェーンを保有する価値は、シーケンサー収益そのものではなく、投機需要によって獲得した流動性を、ネットワーク収益、さらには金融サービスへと段階的に転換していくことにあるという一つの可能性を示しています。 Robinhood Chainが本当に成功したかどうかを判断するのは、まだ時期尚早でしょう。しかし今回のオンチェーンデータからは、「まず流動性を獲得し、その流動性を金融インフラへ育てていく」という一つの可能性が見えてきました。今後、その流動性が本来の目的であるトークン化資産市場へどのように波及し、金融スーパーアプリ全体を支える基盤へ発展していくのか。この点が、Robinhood Chain、そして金融事業者による独自ブロックチェーン戦略の成否を占う重要な評価軸になると考えられます。 免責事項 本レポートは、キリフダ株式会社が情報提供を目的として作成したものです。 本レポートの内容は、人工知能(AI)を活用して生成・編集されています。情報の正確性・完全性については万全を期しておりますが、AIによる生成物であることの性質上、誤りや不正確な情報が含まれる可能性があります。内容については必ずご自身でご確認ください。 本レポートは、特定の金融商品・暗号資産への投資を勧誘・推奨するものではありません。掲載されている情報は、いかなる投資判断の根拠となるものでもなく、投資に関する最終的な決定はご自身の判断と責任においてお願いいたします。 暗号資産への投資には価格変動リスクをはじめとするさまざまなリスクが伴います。投資を行う際は、関連法令・規制を遵守の上、必要に応じて専門家にご相談ください。 © 2026 キリフダ株式会社 All Rights Reserved. References [1] Robinhood, “Robinhood Accelerates Global Expansion With Robinhood Chain Mainnet, Stock Tokens & Agentic Trading” —robinhood.com [2] Robinhood, “Robinhood Chain Launches Public Testnet” —robinhood.com [3] Robinhood, “Robinhood Launches Stock Tokens, Reveals Layer 2 Blockchain and Expands Crypto Suite in EU and US With Perpetual Futures and Staking” —robinhood.com [4] Entropy Advisors, “Robinhood Chain: Network Overview” —dune.com [5] “The Robinhood Trenches” —dune.com [6] Token Terminal, “Robinhood Chain Revenue” —tokenterminal.com [7] キリフダ, “Robinhood Chainの概況とBaseの比較” —dune.com

本レポートは、グレード済みトレーディングカードをNFT化するプラットフォーム「Courtyard(コートヤード)」を、Polygonブロックチェーン上のオンチェーンデータ(Dune Analytics)から分析したレポートです。主な分析対象は直近1年(2025年6月〜2026年6月)とし、それ以前のデータは参考情報として補足的に言及します。 非金融RWAの事例としてCourtyard.io(コートヤード)の仕組みと市場構造を整理し、一次市場・Buyback・ミント/バーンが示す現在地を見ます。 なお本記事は情報提供を目的とした調査・解説であり、特定の金融商品や暗号資産の投資を勧誘するものではありません。 このレポートでわかること グレード済みカードがNFT化され、保管・売買・償還まで至る仕組み 一次市場とVending Machine Buybackが、取扱高の中心になっていること オンチェーンデータが示す、非金融RWAとしてのCourtyardの位置づけ Coincheckの無料登録はこちら 目次 Courtyard.ioとは何か グレーディングとはなにか 扱う商品カテゴリー フィジカルカードがブロックチェーンで流通するまでの流れ カードのトークン化の流れ 一次市場:Vending Machine(パック) Sealed Booster Pack(封入未開封パック) オンチェーンデータが示すCourtyardの成長状況 累計規模と主要指標 一次市場と二次市場の構成 直近1年の成長 オンチェーンデータから読むカードRWA市場の構造 取引価格帯の分布 取引を牽引するカテゴリーとグレード NFTのライフサイクル ミントされたNFTの行き先 バーンされず流通するカードNFTの実態 既存コレクター市場との比較 まとめ|Courtyardが示す非金融RWAの現在地 免責事項 References Courtyard.ioとは何か Courtyard.ioは、PSA・CGC・BGSなどの第三者機関によってグレーディング済みのフィジカルトレーディングカードをNFT化し、Polygonブロックチェーン上で売買できるマーケットプレイスです。 2023年にサービスを開始し、2025年7月24日には米Forerunner Venturesを筆頭にNEA・Y Combinator・Burst Capitalら複数の投資家から3,000万ドル(約48億円)のシリーズA調達を完了しました(出典:Fortune誌独占記事、2025年7月24日)。 非金融資産のRWA化が広がるなか、グレーディング済みトレカ市場は「真贋・状態の証明」が整った新たなオルタナティブ(代替)アセットとして注目されています。 Courtyardのビジネスモデルを理解するうえでは、まずトレーディングカード市場固有の「グレーディング」という評価・認証インフラを押さえておく必要があります。 グレーディングとはなにか トレーディングカード市場では、PSA・CGC・BGSといった第三者鑑定機関がカードの真贋と状態を審査し、スコアを付与します。このグレードはカードの市場価値を直接左右する最重要指標です。 PSA(Professional Sports Authenticator):1991年設立。1〜10の整数スケールを採用し、9.5というグレードが存在しないため、9と10の間に大きな価格の断絶が生じます。最高グレード「10 GEM MINT」はヴィンテージのポケモンカードでは「9 MINT」の数倍〜数十倍の価格差が生じるケースも珍しくありません。業界最大手。 CGC(Certified Guaranty Company):2000年設立。コレクティブル鑑定の世界最大手で、コミック・トレーディングカード・ビデオゲーム等を対象とします。0.5刻みの10点スケールを採用し、最高評価は「Pristine 10」(ゴールドラベル)。 BGS(Beckett Grading Services):0.5刻みのスケールに加え、「センタリング・コーナー・エッジ・サーフェス」の4項目サブグレードが独自の特徴です。すべてのサブグレードで10.0を達成した場合のみ「ブラックラベル10(Pristine 10)」が付与されます。 SGC(Sportscard Guaranty):1998年設立。ヴィンテージスポーツカードの鑑定に定評があり、1〜10の半ポイント制スケールを採用。サブグレードはなし。2024年にPSAの親会社に買収されましたが、SGCブランドとして継続運営されています。 CSG(Certified Sports Guaranty):2021年設立のスポーツカード専門鑑定機関。2023年7月にCGC Trading Cardsと統合し「CGC Cards」となったため、現在は独立したサービスとして存在しません。統合前に発行された鑑定カードは引き続きCourtyardで取り扱われています。 グレーディングはカードに固有のシリアル番号と客観的な状態評価を付与します。このシリアル番号がNFTトークンIDと1対1で対応することで、「このNFTはこのカードである」という証明がブロックチェーン上で完結します。フィジカル市場では鑑定書(紙)の物理的な存在がその証明でしたが、Courtyardの仕組みでは改ざん不可能なオンチェーン記録がそれを代替します。 扱う商品カテゴリー 扱う商品はポケモン・バスケットボール・野球・フットボールのトレーディングカードをはじめ、2025年6月よりCGCグレードのコミックブックも対象に加わりました(出典:CGC公式「Courtyard×CGCコミックVending Machine」)。 フィジカルカードがブロックチェーンで流通するまでの流れ カードのトークン化の流れ ① 送付 → ② 確認・保管 → ③ ミント → ④ 売買 → ⑤ 償還 ① フィジカルカードを送付する Courtyardへの送付は、PSA・BGS・SGC・CGC・CSGのいずれかで鑑定済みのカードのみ受け付けています(出典:Courtyard公式ドキュメント「Vault化・受付グレーダー一覧」)。現時点では米国内からの発送のみ対応しており、国際発送は受け付けていません(将来的な拡大を予定)。未グレードのカードは受け付けられず、誤って送付した場合は返送費用がユーザー負担になる場合があります。グレーディング機関から直接Courtyardの保管先へ転送する「Ship Direct」オプションも利用できます。 ② 確認・保管 Brink's(世界的な現金輸送・保管大手)の専用保管倉庫(Vault)へ収納されます(出典:Polygon公式ブログ)。保管・保険費用はユーザー負担なしで、輸送・保管・返送の全段階で市場価値にもとづく保険がかけられています。 ③ NFTのミント(発行) ミントを実行するのはCourtyardのバックエンドシステムです。グレーダー・シリアル番号・カード名・グレード等の情報を組み合わせた「フィンガープリント」を生成します(例:「Pokemon TCG | CGC 4224921100 | 1999 Base Set #58 Pikachu | 10 GEM MINT」)。このフィンガープリントにソルト値を加えてkeccak256でハッシュ化した値が「Proof of Integrity(PoI)」となり、NFTのトークンIDとして使用されます(出典:Courtyard公式ドキュメント「Proof of Integrity」)。カードのユニークIDが写り込んだ実物写真・3Dレンダリングとともにメタデータに記録され、Polygon上に永続記録されます。 NFTのミント(発行)とProof of Integrity(PoI)の仕組み(出典:Courtyardマーケットプレイス(https://courtyard.io)) ④ マーケットプレイスでの売買 NFTはCourtyardのマーケットプレイス等で自由に売買・転送できます。決済の主な手段はUSDC(Polygonネットワーク上のステーブルコイン)ですが、クレジットカード・デビットカード・Apple Payにも対応しています。取引はすべてPolygon上に記録されます。 ⑤ 償還(フィジカルカードに戻す) NFT保有者が実物を希望する場合、Courtyardサイト上でRedeem(償還)を申請します。本人確認(KYC)と送料の支払い後、CourtyardのバックエンドシステムがオンチェーンでNFTをバーン処理し、Brink'sの倉庫からグレード済みカード(スラブ入りのまま)が出庫・発送されます(出典:Courtyard公式ドキュメント「償還・発送」)。償還の配送はほぼ全世界に対応しています。 一次市場:Vending Machine(パック) Courtyardは個人ユーザーからのカード預入だけでなく、ディーラーネットワークから仕入れた鑑定済みカードを在庫プールとして蓄積し、「Mystery Pack(Vending Machine)」として提供する一次市場も運営しています(出典:Fortune誌)。 Vending Machine(Mystery Pack)の購入画面イメージ(出典:Courtyard Vending Machine(https://courtyard.io)) 1パック=1枚のグレード済みカードであり、フィジカルのTCGパック(未開封の封入商品)とは異なります。購入時にChainlink VRF(検証可能な乱数生成)でランダムに1枚が割り当てられ、カードNFTがユーザーウォレットに直接ミントされます(出典:Courtyard公式ドキュメント「パック開封」、Chainlink公式)。購入直後はカードの正体が非公開状態であり、ユーザーが「Open pack」を選択することで対象カードの情報が開示されます。 Sealed Booster Pack(封入未開封パック) Courtyardでは封入未開封パック(Sealed Booster Pack)もNFT化して取り扱っています。Sealed Booster PackのNFTは物理的な封入パックの所有権を表します。中身のカードを取り出したい場合はNFTを償還(バーン)して実物パックを受け取った後、自分で物理的に開封する必要があります。開封後のカードを再びCourtyard上で取り扱いたい場合は、別途グレーディング機関への送付と再預入が必要です。 Sealed Booster Pack(封入未開封パック)のNFTイメージ(出典:Courtyard Sealed Booster Pack(https://courtyard.io)) オンチェーンデータが示すCourtyardの成長状況 累計規模と主要指標 Courtyardのオンチェーンデータから、Courtyardの規模が確認できます。 項目 内容 累計取引高 13.7億ドル(約2,192億円) 累計TX数 約1,770万件 累計ウォレット数 約61.5万 1日の取引高(2026年6月1日) 231万ドル(約3.7億円) 1日のTX数(同日) 36,319件 一次市場と二次市場の構成 Courtyardの取引は一次市場(パック購入)と二次流通の2層で成り立っています。一次市場ではCourtyardからパックを購入してグレード済みカードを入手します。一方、オンチェーン上で二次流通として集計される取扱高には、ユーザー間の通常売買だけでなく、Vending Machine BuybackによるCourtyardへの売り戻しも含まれます。 一次市場と二次流通の取扱高構成 この点は、Courtyardのデータを読むうえで重要です。二次流通の取扱高の大半は、マーケットプレイス上の純粋なP2P売買ではなく、Vending Machineを通じた買い戻し・再循環によって発生していると考えられます。そのため、二次流通額は「ユーザー間売買の市場規模」として単純に読むのではなく、Vending Machineを中心としたパック開封後の流動化機能の規模として捉える必要があります。実際にVending Machineを使った買い戻しを二次流通から差し引くと二次流通の取扱高が大きく減少していることがわかります。2025年9月ごろからは公正市場価格(FMV)の90%で買い取る機能を本格実装したことが要因と考えられます。 Vending Machine Buyback差引後の二次流通の取扱高 なお、ユーザー間取引の手数料はセラー・バイヤーともに無料とされています(出典:Courtyard公式Aboutページ)。なお、気に入らなかったカードをCourtyardが即時買い取る「Vending Machine Buyback」を利用する場合は、買取額の6%が手数料として発生します(出典:Courtyard NFT Terms)。 直近1年の成長 直近1年(2025年6月〜2026年6月)のNFTミント枚数は、サービス開始直後の数百枚/月から2026年5月の月次約109万枚まで拡大しました。 NFTミント枚数の月次推移 一次市場取扱高は2025年6月の約2,480万ドルから2026年5月の約6,311万ドルへ約2.5倍に広がり、プラットフォーム全体の成長を牽引しています。取扱高だけでなく、ユーザー数・トランザクション数も堅実な成長を見せています。 直近1年では、2025年7月24日に3,000万ドル(約48億円)のシリーズA調達がFortune誌に独占報道されました(出典:Fortune誌)。 一次市場取扱高の月次推移 ユーザー数・トランザクション数の月次推移 一方で、月次ユーザー数は右肩上がりに伸びているものの、直近でも1万人程度の規模にとどまっています。ブロックチェーン領域で大きな注目を集めたPolymarketでは、ピーク時に月次ユーザー数が15万人程度に達していたことを踏まえると、Courtyardはオンチェーンプロジェクトとしてはまだ限定的なユーザー基盤の上で大きな取扱高を生み出しているといえます。 Polymarketのユーザー数推移 では、誰がCourtyardを使っているのでしょうか。決済方法から見ると、Courtyardにはクレジットカード決済、USDC決済、クレジットカードとUSDCを組み合わせたハイブリッド決済があります。この内訳を見ると、クレジットカードのみで実行された取扱高は全体の20%程度、トランザクション数では10%未満にとどまっています。 決済手段別の取扱高構成比 決済手段別のトランザクション数構成比 つまり、Courtyardの利用は一般消費者がクレジットカードでトレーディングカードを購入する動きだけではありません。むしろ、自身が保有するステーブルコインの出口としてポケモンカードなどのコレクティブルを購入する、既存クリプトユーザーの新しいユースケースとして利用されている側面が大きいと考えられます。 ポケモンカードへの市場関心も上昇しており(「pokemon cards」の検索関心は2026年2月に最高値を記録)、PSAへのグレーディング依頼件数も2025年比+32%(TCG・非スポーツカードに限ると+97%)と急拡大しています(出典:SI)。 ポケモンカードの検索関心とPSAグレーディング依頼件数の推移 オンチェーンデータから読むカードRWA市場の構造 取引価格帯の分布 一次市場(パック購入)では25〜49ドルの価格帯が最多の32.0%を占め、25〜99ドルが全体の過半数を超えています。1,000ドル以上の高額パックも全体の約1.3%存在し、コレクター需要の厚みを示しています。 二次市場は低価格帯への集中が顕著で、10〜24ドルが28.4%と最多、5〜9ドルが21.75%で2位です。メタデータが確認できるカードの最高取引額は1万7,777ドル(CGC 10 PRISTINE ポケモン Expeditionセット)で、希少カードへの高額需要も確認されています。 一次市場の取引価格帯の分布 二次市場の取引価格帯の分布 取引を牽引するカテゴリーとグレード グレーダー×グレード×カテゴリ別の取引高上位(直近1年)は、PSA 10 GEM MINTのポケモンカードが圧倒します。 順位 カテゴリー詳細(グレーダー / グレード / カテゴリ) 取引高 枚数 平均単価 1位 PSA / 10 GEM MINT / ポケモン 65万6,000ドル(約1億500万円) 3,258枚 142ドル(約22,700円) 2位 PSA / 9 MINT / ポケモン 21万3,000ドル(約3,400万円) 2,672枚 50ドル(約8,000円) 3位 PSA / 8 NM-MT / ポケモン 7万8,000ドル(約1,250万円) 709枚 70ドル(約11,200円) 4位 CGC / 10 GEM MINT / ポケモン 7万5,000ドル(約1,200万円) 823枚 62ドル(約9,900円) 5位 PSA / 10 GEM MINT / バスケットボール 4万9,000ドル(約790万円) 985枚 28ドル(約4,500円) PSA 10 GEM MINTのポケモンカードの平均単価は142ドルで、同じPSA 10のバスケットボール(28ドル)・野球(36ドル)の約4〜5倍の水準にあります。上位4位をポケモンカードが独占しており、PSAの最高グレードへの需要集中が際立っています。 NFTのライフサイクル ※本節のライフサイクルデータはサービス開始以来の全期間(2023年〜2026年6月)を対象としています。 ミントされたNFTの行き先 全ミント数約919万枚のうち87.2%にあたる約801万枚が、ミントと同一日にバーンされています。87.2%が当日バーンされているのは、多くのユーザーがVending Machine Buybackを利用してCourtyardへ売り戻した結果と考えられます。 期間 枚数 割合 0日(当日バーン) 801万枚 87.2% 1〜7日 38.9万枚 4.2% 8〜30日 17.5万枚 1.9% 31〜90日 19.4万枚 2.1% 91〜180日 15.5万枚 1.7% 181〜365日 15.1万枚 1.6% 365日超 10.9万枚 1.2% バーンされず流通するカードNFTの実態 Buybackに売り戻されなかった約12.8%(約118万枚)が、カードとして保有または二次市場で取引されました。このうち現在も保有・流通中(バーン未済)のカードは31.7万枚です。 バーン済み(Buyback売り戻しおよびフィジカル返還の合計):887万枚 流通中(バーン未済):31.7万枚 平均流通日数:14.6日 365日超の長期保有カードは10.9万枚存在し、平均538日にわたって保有されています。希少カードを長期保有するコレクターの存在が確認されます。 既存コレクター市場との比較 フィジカルのトレーディングカード市場との主な違いと課題を整理します。 比較項目 フィジカル市場 Courtyard.io 取引時間 平日・営業時間内が中心 24時間365日 決済 現金・銀行振込 USDC・クレジットカード等(即時) 真贋証明 鑑定書(紙) オンチェーン記録(永続) 譲渡 物理的な発送が必要 NFT転送(即時・低コスト) 透明性 相対取引が多く価格不透明 全取引がオンチェーンで公開 保管 所有者が管理 Brink's Vaultが管理(保険付き) グレード情報がNFTメタデータとして永続記録されることで、「グレードが価値を決める市場」の信頼性がデジタル上でも維持されます。フィジカル市場では鑑定書(紙)がグレードの唯一の証明手段でしたが、Courtyardではカードを手元に置かなくてもオーナーシップをNFTとして保持・譲渡できる仕組みが、改ざん不可能なオンチェーン記録によって実現されています。 一方で、ここまでのオンチェーンデータを見ると、トークン化によって物理的な発送・検品・保管移動が不要になったからといって、ユーザー間の純粋な二次流通が自動的に活発化するわけではないことも分かります。実際には、二次流通として観測される取扱高の多くはVending Machine Buybackを通じた買い戻し・再循環によって発生しており、P2P売買そのものは相対的に限定的です。NFT化は取引インフラの摩擦を下げますが、コレクター同士の継続的な売買需要を単独で生み出すものではありません。 また、決済手段の内訳から見ると、Courtyardの取引はクレジットカードよりもUSDCを中心とするステーブルコイン決済が主流です。この点から、Courtyardは一般消費者向けのカード購入サービスであると同時に、既存クリプトユーザーが保有するステーブルコインを非金融資産へ変換する「資金の出口」として利用されている側面が強いといえます。非金融RWAとしてのCourtyardの特徴は、フィジカルカード市場の流動化だけでなく、オンチェーン資金をコレクティブル市場へ接続している点にもあります。 まとめ|Courtyardが示す非金融RWAの現在地 Courtyard.ioのオンチェーンデータから読み取れる主な事実を以下に整理します。 サービス開始以来の累計流通総額は13.7億ドル(約2,192億円)、累計TX数は約1,770万件、累計ユーザー数は約61.5万アドレスを記録しています。 一次市場取引高は2025年6月の約2,480万ドルから2026年5月には約6,311万ドルへと約2.5倍に拡大しています。 二次流通の取扱高にはVending Machine Buybackによる流通が含まれており、二次流通の大半はVending Machineを通じた買い戻し・再循環によって発生していると考えられます。 Vending Machine Buybackによってユーザーが即時に売り戻せる導線が整備されたことで、マーケットプレイス上で他ユーザーに売却する純粋な二次流通は相対的に起こりにくくなっています。 全ミントNFTの87.2%が当日バーンされており(サービス開始以来の全期間データ)、多くのユーザーがVending Machine Buybackを利用していることが推察されます。 直近1年の二次流通では、PSA 10 GEM MINTのポケモンカードが取引高首位で平均単価142ドルは他カテゴリの約4〜5倍に達します。ただし、この取引高は純粋なP2P売買だけでなくVending Machine由来の流通も含む数値です。 2026年Q1〜Q2の一次市場取引高は月次5,700〜6,300万ドル水準で推移しており、TCG市場全体の構造的な盛り上がりと連動したファンダメンタルズ成長が確認されます。 PSA・CGCの鑑定書が保証する価値をオンチェーン記録として永続化し、カードを手元に置かなくてもオーナーシップを証明・移転できる仕組みは、非金融RWAのトークン化における重要な実装例です。一方で、オンチェーンデータを見る限り、トークン化によってユーザー間の移転は容易になっているものの、それ自体がCourtyardの大きなトラクションを生んでいるわけではありません。実際の成長を支えているのは、一次市場でのパック購入と、Vending Machine Buybackを通じた即時買い戻し・再循環の仕組みです。 つまりCourtyardは、トレーディングカードを単純にP2Pで流動化するマーケットプレイスというより、ステーブルコインを使ってパックを購入し、不要なカードをBuybackで再循環させる、クリプト資金の出口を備えたコレクティブル流通プラットフォームとして成長しているといえます。 免責事項 本レポートは、キリフダ株式会社が情報提供を目的として作成したものです。 本レポートの内容は、人工知能(AI)を活用して生成・編集されています。情報の正確性・完全性については万全を期しておりますが、AIによる生成物であることの性質上、誤りや不正確な情報が含まれる可能性があります。内容については必ずご自身でご確認ください。 本レポートは、特定の金融商品・暗号資産への投資を勧誘・推奨するものではありません。掲載されている情報は、いかなる投資判断の根拠となるものでもなく、投資に関する最終的な決定はご自身の判断と責任においてお願いいたします。 暗号資産への投資には価格変動リスクをはじめとするさまざまなリスクが伴います。投資を行う際は、関連法令・規制を遵守の上、必要に応じて専門家にご相談ください。 © 2026 キリフダ株式会社 All Rights Reserved. References [Dune] オンチェーンデータ:Dune Analytics(Coincheckメディア公式ダッシュボード) —dune.com [Courtyard公式] Proof of Integrity:Courtyard公式ドキュメント —docs.courtyard.io [Courtyard公式] Vault化・受付グレーダー一覧:Courtyard公式ドキュメント —docs.courtyard.io [Courtyard公式] Ship Direct:Courtyard公式ドキュメント —docs.courtyard.io [Courtyard公式] パック開封:Courtyard公式ドキュメント —docs.courtyard.io [Courtyard公式] グレーディング:Courtyard公式ドキュメント —docs.courtyard.io [Courtyard公式] 償還・発送:Courtyard公式ドキュメント —docs.courtyard.io [Courtyard公式] 保管・保険:Courtyard公式ドキュメント —docs.courtyard.io [Courtyard公式] CGCパートナーシップ:Courtyard公式ドキュメント —docs.courtyard.io [Courtyard公式] NFT Terms & Asset Management Services Agreement —intercom.help [Courtyard公式] Aboutページ(手数料比較表) —courtyard.io [Courtyard公式] ブログ(Series A発表) —courtyard.io [Courtyard公式] ブログ(新マーケットプレイス紹介) —blog.courtyard.io [Courtyard公式] 公式X(セラー手数料0%発表、2025年6月3日) —x.com [メディア] Fortune(Series A独占報道、2025年7月24日) —fortune.com [メディア] CGC公式(Courtyard×CGCコミックVending Machine) —cgccomics.com [メディア] Polygon公式ブログ(Courtyard紹介・Brink's言及) —polygon.technology [メディア] SI(2025年グレーディング統計) —si.com [メディア] PokemonPriceTracker(ポケモンカード価格指数・2026年Q1市場データ) —pokemonpricetracker.com [技術・導入事例] Chainlink(VRF統合) —chainlinkecosystem.com [技術・導入事例] thirdweb(Courtyard導入事例) —blog.thirdweb.com [技術・導入事例] Privy(Courtyard導入事例) —privy.io [技術・導入事例] Coinflow(決済インフラ事例) —coinflow.cash [グレーダー公式] PSA(グレーディング基準) —psacard.com [グレーダー公式] PSA(封入パックグレーディングサービス) —psacard.com [グレーダー公式] CGC(グレーディングスケール) —cgccards.com [グレーダー公式] CGC(設立・概要) —cgccomics.com [グレーダー公式] CGC Cards(CSG統合FAQ) —cgccards.com [グレーダー公式] Beckett(BGSグレーディングスケール) —beckett.com [グレーダー公式] SGC(公式サイト) —gosgc.com

本記事では、CoinbaseとMorphoが共同で提供する「Bitcoin-Backed Loans with Morpho」を題材に、CeFi(中央集権型金融)とDeFi(分散型金融)のそれぞれの役割と、両者を組み合わせたCeDeFiというアーキテクチャが金融事業者に対して何をもたらすのかを整理します。 なお本記事は情報提供を目的とした調査・解説であり、特定の金融商品や暗号資産の投資を勧誘するものではありません。 このレポートでわかること CeDeFi(セディファイ/シーディファイ)とは何か、CeFi・DeFi との違い Coinbase と Morpho の Bitcoin 担保ローンが示す、海外 CeDeFi の実装イメージ 普及のメリットとリスク、金融事業者が押さえるべき論点 Coincheckの無料登録はこちら 目次 Coinbaseとは何か Morphoとは何か レンディング市場における違い Bitcoin-Backed Loans with Morphoとは何か サービスのトラクション サービスの仕組み 借入条件と担保資産 金利・手数料 サービスにおけるCoinbaseのスタンス CeDeFiのメリットとデメリット そもそもCeDeFi(セディファイ/シーディファイ)とは CeDeFiのメリット CeDeFiのデメリット・リスク まとめ 免責事項 References Coinbaseとは何か Coinbaseは2012年に創業した米国の暗号資産プラットフォームです。登録ユーザー数は約1.08億人、2025年通年の取引総額は5.2兆ドルに達し、暗号資産取引所としての規模は業界最大級です。ただし現在のCoinbaseは、単なる取引所の枠を超えたブロックチェーンインフラ企業としての側面が強まっています。 Coinbaseの取り組みは多岐に渡り、以下のようなものが挙げられます。これら以外にも予測市場のような新しいアセットクラスや証券トークナイズによるオンチェーン金融などの取り組みも進めています。 取り組み内容 概要 暗号資産取引所 リテール・機関向け取引プラットフォーム Base Coinbaseが開発・運営するEthereum L2ブロックチェーン トークンの発行 ビットコインなどのトークンを1:1で裏付けたラップドトークンの発行 x402 HTTPの決済レイヤーを拡張するペイメントプロトコル Bitcoin-Backed Loans 本記事が取り上げるBitcoin担保ローンサービス クリプトカード USDCなどのステーブルコインをはじめとした決済 KYC・AMLを含む規制対応の実績と1億人超のユーザー基盤を持ちながら、DeFiプロトコルと接続するためのゲートウェイ機能を担うという立ち位置が、今回のサービスを理解する上での前提となります。 Morphoとは何か Morphoは、Ethereumエコシステム上に構築されたパーミッションレス・ノンカストディアルのオンチェーンレンディングインフラです。 暗号資産の貸し借りを実現するDeFiプロトコルとしては、AaveやCompoundが広く知られています。これらは「共有プール型」と呼ばれ、複数の担保資産と貸出資産が一つの大きなプールを共有し、利用率に応じて金利が自動調整される仕組みです。プールを共有する構造上、あるマーケットの不良債権リスクが他のマーケットに波及する可能性があります。 比較軸 Aave / Compound Morpho Blue 市場構造 共有流動性中心 市場ごとに分離 リスク管理 プロトコル全体管理 市場単位で隔離 市場作成 DAO主導 Permissionless 金利モデル 標準化IRM 市場ごとに選択可能 柔軟性 低〜中 高 流動性 集約されやすい 分散しやすい 主な強み 深い流動性 カスタマイズ性 レンディング市場における違い 一方で、Morphoは各市場が独立しており、「担保資産・貸出資産・価格オラクル・金利モデル・清算閾値(LLTV)」の5パラメータで独立して定義されていることで、あるマーケットのリスクが他のマーケットに伝播しない設計になっています。 出典:Morpho Docs TVLは2026年5月時点で約76億ドルを超えており、DeFi貸付プロトコルとして急速に存在感を高めています。 出典:DefiLlama Bitcoin-Backed Loans with Morphoとは何か Bitcoin-Backed Loans with Morphoは、Coinbaseのリテールユーザーがアプリ上で完結した借入体験を得ながら、バックエンドではMorphoのオンチェーンレンディング市場を利用する構造の金融サービスです。 ユーザーの体験はシンプルです。Coinbaseのアプリ上で担保となる暗号資産を選択し、借入額を入力し、利用規約に同意するだけです。その裏側では、次のプロセスが自動的に処理されています。 CoinbaseがBTCを受け取り、cbBTC(ビットコインを1:1で裏付けたラップドトークン)に変換する cbBTCをBase上のMorphoスマートコントラクトにロックする MorphoプロトコルがUSDCを貸し出す ユーザーはDeFiプロトコルやスマートウォレットを直接操作した感覚がないまま、オンチェーンのローンを利用することになります。「フロントはCeFi、バックはDeFi」という設計が、このサービスの本質です。 サービスのトラクション サービスは2025年1月に米国でローンチされ、その後ETH・cbETH担保への対応拡張、借入上限の引き上げ、英国への展開と段階的に規模を拡大してきました。 ローンチから約1年3ヶ月で累計23.9億ドル(約3,500億円)の借り入れが実行されています。2025年5月時点でアクティブな借入ユーザーは約3万人です。 借入金額・ユーザーのトラクション 借入の担保資産は、約90%がBTC、ついで約5%がETHが使われており、LTV・LLTVの水準が高い資産が担保資産のほとんどを占めていることがわかります。 実行中の借入金額は、約11.8億ドル(約1,770億円)で、以下のグラフに示すような推移で増加しています。2025年11月頃や2026年2月頃で借入額の落ち込みが確認できるのは、BTCの価格変動時に清算が発生したため、2026年2月6日頃に発生した1日で約1万ドル近くの値動きによって清算が発生していることが予想されます。 実行されている借入額の日次推移 2026/2/6のタイミングで1日で1万ドル近くの上下幅が発生 また、CoinbaseはMorphoを使ったUSDCの貸し付けもサービスとして組み込んでおり、ユーザーはCoinbaseのアプリ上からUSDCを預け入れることで、Morpho市場の需給に応じた変動利回りを受け取る仕組みとなっています(2026年5月時点の参考値:年率4.1%〜4.5%程度。市場環境により変動します)。このサービスは累計22.4億ドル近くが預け入れられており、2026年5月時点で約2.8億ドル近くのステーブルコインの残高があります。 この残高はMorphoが提供するVaultのうちの2割近くを占めており、一時は4割近くの供給をCoinbaseによって供給されていました。Coinbaseが提供することによる安心感やUXの簡便さとDeFiの透明性や利回りを組み合わせることで、DeFiの複雑性をCoinbaseのブランドで包んで一般ユーザーに届けることに成功している事例と言えます。 サービスの仕組み 借入条件と担保資産 ユーザーは担保資産を預け入れることでLTV(残高÷担保時価)が49〜75%を上限として借入を実行することができます。例えば、1BTCが80,000ドルの時、60,000ドルまで借入を実行することができます。 一方で、借入実行後に1BTCが80,000→69,767ドルまで下がると、担保資産の清算ラインとなる86%を下回るため清算が実行されます。Morphoのスマートコントラクトが自動・即時に清算を執行します。清算時にはペナルティとして担保の4.38%が追加徴収されます。 LTVが上昇する主な要因は以下の3つです。 担保資産の価格下落 利息の蓄積による借入残高の増加 追加借入による借入残高の増加 借入する際の通貨はUSDCで統一されています。信用審査はなく、返済期日も設けられていません。利用資格は「米国在住(ニューヨーク州を除く)かつ本人確認済みのCoinbaseアカウント保有者」で、英国では2026年4月から限定的なアクセスが開始されています。借入をする際には、以下の対応する担保資産を預け入れることで借入を実行することができます。 担保資産 最大借入額(USDC) 最大借入LTV 清算ライン BTC 500万ドル 75% 86% ETH・cbETH 100万ドル 75% 86% XRP・DOGE・ADA・LTC 未公表 49% 62.5% 注記: SOLの取り扱いもありますが、表には未記載(Coinbase)。 金利・手数料 金利は変動制で、Morpho市場の需給に応じて毎ブロック生成時(数秒ごと)に更新されます。BTC担保での現在水準は年率約6%程度です。 米国の金利水準は市場環境によって異なりますが、平常時では概ね年率4〜8%程度で推移することが多く、借入需要が高まる局面では10%を超える場合もあります。暗号資産担保ローンとしては比較的低い金利水準に位置付けられます。 また、手数料は借入時に一括で発生します。借入額25万ドルまでは2%、超過分については1%が適用されます。この手数料は元本に加算されるため、以降の利息計算にも含まれます。 サービスにおけるCoinbaseのスタンス Bitcoin-Backed Loans with Morphoにおいて、Coinbaseが自社を「UIプロバイダー」として位置づけていることは、本サービスの構造を理解する上で重要な点です。 ローンの実行主体はMorphoのスマートコントラクトであり、Coinbaseは清算プロセスに介入できません。規約上、Coinbaseは清算損失・サービス障害・価格変動に起因する損失に対して一切の責任を負わず、損害賠償の上限は「支払済み利用料または100ドルのいずれか高い方」と定められています。 また、借り入れたUSDCをCoinbase上のトレードに使用することは禁止されています。これはレバレッジ取引に類する行為を回避するための措置と考えられます。担保中の暗号資産は取引・移動が不可能なロック状態に置かれます。 項目 Coinbaseの立場 ローン実行主体 Morphoスマートコントラクト(Coinbaseではない) 清算への介入 不可 損害賠償上限 支払済み利用料 or 100ドルの高い方 担保中の暗号資産の扱い 取引・移動不可(ロック状態) 借入USDCの利用制限 Coinbase上のトレードへの使用禁止 従来のCeFiレンディングサービスでは、プラットフォーム事業者が貸付業者として一定の責任を負い、清算や債権管理を含むオペレーションを自社で担います。これに対しBitcoin-Backed Loans with Morphoは、Coinbaseがフロントエンドとしてユーザー体験を提供しながら、貸付に関わるリスクの所在をスマートコントラクトに移転した設計です。 CeDeFiのメリットとデメリット Bitcoin-Backed Loans with Morphoが体現するCeDeFiモデルの特徴を、既存のCeFiのレンディングやDeFiのレンディングとの比較で整理します。 そもそもCeDeFi(セディファイ/シーディファイ)とは CeDeFi(セディファイ/シーディファイ)は、Centralized DeFi の略称で、取引所など CeFi の使いやすさと、DeFi プロトコルの自動実行・透明性を組み合わせた金融の形です。ユーザーは従来型の取引所と同様の操作感のまま、裏側ではスマートコントラクト上でレンディングや清算が動きます。 CeDeFiのメリット 信用審査コストのカット 過剰担保(借入時のLTV上限は75%)によって信用審査を代替しており、借り手の属性評価プロセスが不要です。与信審査にかかる人件費・システムコスト、および不良債権リスクが原理的に発生しない設計です。 清算・回収業務のスマートコントラクトへの委任 LTV 86%到達時の清算は、スマートコントラクトが判断・執行します。清算タイミングの判断や債権回収の交渉といった、従来の貸付業務で大きなコストを占める工程がコードに置き換えられています。 DeFiへのアクセシビリティを向上し、ユーザー体験の向上 DeFiのオープン性・利回り・透明性とCEXの使い慣れている環境・安心感を組み合わせてトレードオフを縮めることができます。特にマスアダプションの文脈では、技術的ハードルを下げることが参加者層の拡大に直結します。 CeDeFiのデメリット・リスク 価格急落時の自動清算リスク 担保資産の価格が急落した場合、LTVが短時間で86%を超えるケースがあります。スマートコントラクトは猶予なく清算を執行するため、2022年のような急落局面では連鎖的な清算が発生しうる構造です。従来の貸付では貸し手が清算判断に裁量を持てる場面がありますが、このモデルでは一切介入できません。 規制上の利用可能地域の制約 現在は米国(ニューヨーク州を除く)と英国(限定)のみで利用可能です。暗号資産担保ローンに関する規制整備の状況が国ごとに異なるため、グローバル展開には時間を要する見通しです。 Coinbaseによる損失補償の不在 CoinbaseはUIプロバイダーとして定義されており、清算損失・システム障害・価格変動に起因する損失への賠償責任を原則として負いません。ユーザーはスマートコントラクトの動作リスクを自己負担することになります。 まとめ Bitcoin-Backed Loans with Morphoは、Coinbaseが提供するユーザー体験(KYC・UI・ブランド)と、Morphoが提供するオンチェーンレンディングインフラを組み合わせた、CeDeFiアーキテクチャの現時点での代表的な実装例です。 サービス開始から約1年3ヶ月で累計23.9億ドルの貸付実行額を達成した事実は、「CeFiのUIをDeFiのインフラに接続する」アプローチが市場から受け入れられていることを示しています。信用審査なし・清算の自動化・オープンな流動性市場による低金利という組み合わせは、従来の貸付ビジネスとは異なるコスト構造を実現しており、その設計思想は既存の金融事業者にとって参照価値があります。 一方で、価格急落時の自動清算リスク、事業者による損失補償の不在、地域規制による展開制約といった課題は、従来のCeFiが担保していた要素をスマートコントラクトと利用者自身が引き受ける形になっています。 ユーザーがより簡単にDeFiにアクセスする新しい手段として、今後もCeDeFiに注目が集まります。 免責事項 本レポートは、キリフダ株式会社が情報提供を目的として作成したものです。 本レポートの内容は、人工知能(AI)を活用して生成・編集されています。情報の正確性・完全性については万全を期しておりますが、AIによる生成物であることの性質上、誤りや不正確な情報が含まれる可能性があります。内容については必ずご自身でご確認ください。 本レポートは、特定の金融商品・暗号資産への投資を勧誘・推奨するものではありません。掲載されている情報は、いかなる投資判断の根拠となるものでもなく、投資に関する最終的な決定はご自身の判断と責任においてお願いいたします。 暗号資産への投資には価格変動リスクをはじめとするさまざまなリスクが伴います。投資を行う際は、関連法令・規制を遵守の上、必要に応じて専門家にご相談ください。 © 2026 キリフダ株式会社 All Rights Reserved. References [1] Morpho, Variable Rate Market (Morpho Blue) —docs.morpho.org [2] DefiLlama —defillama.com [3] Dune, Morpho, Coinbase Onchain Borrowing & Lending —dune.com

本レポートでは、暗号資産デリバティブ市場で存在感を急速に高める分散型取引所(DEX)「Hyperliquid(ハイパーリキッド)」を取り上げます。 Hyperliquidは、暗号資産にとどまらず、銀・原油・金・米国株・為替などの従来型金融商品まで、期限なく売買できるパーペチュアル先物を、24時間365日グローバルに取引できる金融インフラへと急速に進化しています。 以下では、オンチェーン分析ツール「Dune Analytics」から取得したデータをもとに、Hyperliquidの現状と金融業界への示唆を整理します。 このレポートでわかること 暗号資産DEXが、株・コモディティ・為替まで広がった背景 累計取扱高4兆ドル超など、データが示す利用の厚み 休場なし・少額から参入できる点が、既存金融と比べて意味すること Coincheckの無料登録はこちら 目次 Hyperliquidとはなにか ブロックチェーン上に金融を再構築する 誕生の経緯と思想 HyperCoreとHyperEVMの違い Hyperliquidのトラクション HyperliquidへのBridgeボリューム 取引高の全体像 カテゴリー別・トークン別の取引高 既存の金融からみる可能性 24時間365日のグローバルな取引 アクセシビリティの向上 取扱商品の多様化と予測市場・プライベート市場への拡大 まとめ 免責事項 References Hyperliquidとはなにか Hyperliquid(ハイパーリキッド)は、独自のレイヤー1ブロックチェーン「Hyperliquid L1」上に構築された分散型取引所(DEX)です。中央集権型取引所(CEX)と同等の処理速度を、ブロックチェーンの透明性とノンカストディ(利用者が自分のウォレットで資産を管理する仕組み)環境で実現している点が、最大の特徴です。 【Hyperliquidの基本スペック】 項目 内容 名称 Hyperliquid(ハイパーリキッド) 種別 分散型取引所(DEX)/独自のレイヤー1ブロックチェーン 提供サービス パーペチュアル先物・スポット取引、HyperEVMによるスマートコントラクト ネイティブトークン HYPE(2024年11月リリース) 取扱銘柄数 230銘柄(暗号資産・コモディティ・株式・為替などを含む/2026年4月時点) 取引手数料 テイカー 0.045% / メイカー 0.015%(パーペチュアル先物・基本ティア) ネットワーク手数料 ゼロ(ガス代不要) 取引時間 24時間365日 開発元 Hyperliquid Labs(創業者:Jeff Yan氏) メインネット稼働 2023年 ブロックチェーン上に金融を再構築する Hyperliquidは、パーペチュアル先物(決済期日がなく、ファンディングレートと呼ばれる調整金で価格均衡を保つ仕組みのこと)を中心としたDEXです。独自のレイヤー1ブロックチェーン「Hyperliquid L1」上に構築されており、CEX(中央集権型取引所)に匹敵するスピードと流動性を、ブロックチェーンの透明性を活かしながら、ノンカストディ(利用者が自身のウォレットで資産の秘密鍵を直接管理する形態)環境で提供します。 最大の特徴は、暗号資産にとどまらない幅広い商品ラインナップです。Hyperliquidでは、暗号資産はもちろん、株価指数・個別株・コモディティ・外国為替・さらにはプライベート企業株のパーペチュアル先物まで取引できます。ブロックチェーンが「金融インフラ」として既存市場に並ぶ段階に入りつつあることを示す、象徴的な展開です。 誕生の経緯と思想 Hyperliquidを創業したのは、Jeff Yan(ジェフ・ヤン)氏です。2013年の国際物理オリンピックで金メダルを獲得した物理学の俊才で、ハーバード大学で数学・コンピュータサイエンスを専攻後、高頻度取引(HFT)で知られるクオンツトレーディング会社「Hudson River Trading」でクオンツトレーダーとして経験を積みました。 転機は2022年に起きたFTX(暗号資産取引所)の経営破綻です。FTX破綻によって中央集権型取引所のリスクが露呈する中、Jeff氏は、「本当に分散化された、誰も支配できない取引所を作る」という決意のもと、2023年にHyperliquidのメインネットを立ち上げました。 注目すべきは、そのチーム規模と資金調達方針です。立ち上げ時のチームはわずか11名。VC(ベンチャーキャピタル)からの資金調達を一切断り、Jeff氏が自己資金で開発費用を賄いました。その理由は明確で、「VCが大量のトークンを持つことは、ネットワークに傷(scar on the network)を残すことになる。誰もが公平に使える信頼中立的なプラットフォーム(credibly neutral platform)を作るためには、インサイダーを作ってはいけない」という思想によるものです。 2024年11月にリリースされたネイティブトークン「HYPE」の配布方針にも、この思想が色濃く反映されています。全供給量の31%がこれまでの利用者に直接エアドロップ(無償配布)され、39%が将来のコミュニティ向けに留保。VCや機関投資家への配布はゼロという、業界では極めて異例の配布構造が採用されました。 HyperCoreとHyperEVMの違い Hyperliquidのアーキテクチャは、大きく2つのレイヤーで構成されています。 HyperCore(取引エンジン) HyperCoreは、Hyperliquidの取引エンジンそのものです。オーダーブック形式でパーペチュアル先物を処理します。公式ドキュメントによれば、現在のメインネットは1秒間に約20万件の注文を処理可能で、注文から約定までの往復応答時間は中央値0.2秒とされています。CEXと遜色のない速度をブロックチェーン上で実現している点が、大きな特徴です。ネットワーク手数料(ガス代)はゼロ、取引手数料はパーペチュアル先物の基本ティアでテイカー(注文を消費する側)0.045%・メイカー(注文を供給する側)0.015%で、14日間の累計取引量に応じたティア制により段階的に引き下げられます。 HyperEVM(スマートコントラクト基盤) HyperEVMは、Ethereumと互換性のあるスマートコントラクト実行環境(EVM:Ethereum Virtual Machine)です。HyperCoreの上で動作し、DeFi(分散型金融)プロトコルやdApp(分散型アプリケーション)の開発・デプロイを可能にします。HyperEVMの登場により、Hyperliquidは単なる取引所を超え、独自のエコシステムを持つプラットフォームへと進化しました。 両者の関係を端的に言えば、「HyperCoreが高速道路、HyperEVMがその上に建つ街」です。HyperCore上で高速・低コストの取引が行われる一方、HyperEVMでは多様なDeFiサービスが展開される構造となっています。 Hyperliquidのトラクション 以下では、オンチェーン分析ツール「Dune Analytics」と21Shares Research が Dune Analytics上で公開しているコミュニティデータセットのデータをもとに、Hyperliquidの実際の利用状況を確認します。 HyperliquidへのBridgeボリューム Hyperliquidで取引するには、まず外部のブロックチェーンからHyperliquidへ資金を移す必要があります。 この異なるブロックチェーン間で資産を橋渡しする仕組みをBridgeといい、Hyperliquidへの主な流入経路はArbitrumチェーンからのUSDC(米ドルに連動するステーブルコイン)送金です。HyperEVMチェーン上での資金移動も加わるため、以下の数値はArbitrumおよびHyperEVM両チェーンの合算値となります。 TVL(Total Value Locked:総預入残高)は、2026年5月11日時点、ArbitrumおよびHyperEVM合算で約49.2億ドル(約7,626億円)で推移しており、日々数千人規模のユーザーがBridgeを通じて資金を移動させています。 Hyperliquidの日次TVLの推移 また、2026年5月4日週では、1日の純流入が約2億4,790万ドル(流入:19,089アドレス / 2億7,850万ドル、流出:21,763アドレス / 3,060万ドル)と、活発な資金流入が続いていることが確認できます。 Hyperliquidの日次流入出金額 Bridgeの規模・回数と曜日パターン Bridgeの入金規模を ①100万ドル以上をWhale、②10万ドル〜100万ドルをLarge、③1万ドル〜10万ドルをMedium、④1,000ドル〜1万ドルをSmall、⑤1,000ドルより小さい規模をMicro という5つのティアに分け、参入するユーザー層の規模を明らかにしました。 参入しているアドレス数は45%程度がMicro、28%程度をSmall、18%程度をMediumのユーザーが占めており、7割程度は投資金額が1万ドルに満たないユーザーによって構成されています。 入金規模のティア別のBridgeのアクティブアドレス数の分布 一方で、取引高で見ると、全体のBridge額の85%程度が100万ドル以上をBridgeする大口ユーザーによって構成されていることがわかります。 入金規模のティア別のBridgeによる入金金額の分布 また、ユーザー層と曜日で集計すると、Bridgeの入金額は土日よりも平日の方が大きく、特に、Whaleのような大口のユーザーの入金規模が大幅に下がっていることがわかります。 曜日別でのBridgeによる入金金額 この傾向は、規模の大きいティアほど顕著に現れます。以下は各ティアの平日の平均値に対する曜日別のBridge入金額の比率を示したものです。最も規模の大きいWhaleでは、土・日の入金額が平日平均の約6割〜約7割程度まで落ち込みます。 曜日別・入金規模のティア別での入金額の平日比 一方、小口のMicroティア(累積入金額1,000ドル未満)では土日の落ち込みがほとんどなく、個人ユーザーの入金行動はほぼ平日と変わりません。 規模が大きくなるほど平日に集中し、週末に入金が減るという行動パターンから、個人投資家ではなく機関投資家のような法人もHyperliquidを利用している可能性を示唆しています。 なお、このデータはあくまでBridge入金の規模・回数に関するもので、Hyperliquid上での実際の取引活動との直接的な因果関係を示すものではありません。入金タイミングと取引タイミングは必ずしも一致せず、入金済み資金が後日取引に使われるケースも多いためです。ただし、大口入金が週末に萎む傾向は、大規模ユーザーの活動リズムを把握する参考指標として注目できます。 取引高の全体像 【累計取扱高】4.18兆ドル(サービス開始から1077日間の累計、2026年4月30日時点) 【直近日次取扱高】36.6億ドル(2026年4月30日時点) 【上場銘柄数】230銘柄(暗号資産・コモディティ・株式・為替等を含む) 2026年4月30日時点で累計取扱高4.18兆ドルという数字は、わずか約3年で達成した規模で、直近の日次取扱高36.6億ドルを年換算すると約1.3兆ドル規模となります。東京証券取引所プライム市場の2025年の年間取引額が、約1,420兆円(約9.2兆ドル)であることを考えると、Hyperliquidという1つのプラットフォームの取引高が、東証プライムの取引高の1/7に相当する規模に達していることがわかります。 カテゴリー別・トークン別の取引高 Hyperliquidの取引は、主要暗号資産が圧倒的なシェアを持ちつつ、多様なカテゴリーに広がっています。 カテゴリー 日次取引高 上場銘柄数 シェア 主要暗号資産 $3.26B 4銘柄 89.1% L1・インフラ $132M 45銘柄 3.6% ミームコイン $130M 19銘柄 3.5% その他暗号資産 $102M 143銘柄 2.8% DeFi $22.8M 18銘柄 0.6% コモディティ $4.27M 1銘柄(※) 0.1% ※ データは2026年4月30日時点。コモディティ銘柄はこの集計時点での上場数(詳細後述) 取引量では主要暗号資産(BTC・ETH・SOL・HYPE)が全体の約89%を占めますが、銘柄数では「その他暗号資産」が143銘柄を占めており、Hyperliquidが幅広い暗号資産のオンチェーン取引場所として機能していることがわかります。 カテゴリー別週次取引高(2026年4月30日) トークン別週次取扱高(2026年4月27日週) 銘柄 カテゴリー 週次取扱高 BTC(ビットコイン) 主要暗号資産 $14.0B ETH(イーサリアム) 主要暗号資産 $4.97B HYPE(Hyperliquid) 主要暗号資産 $1.38B SOL(ソラナ) 主要暗号資産 $891M ZEC(ジーキャッシュ) L1・インフラ $455M DOGE(ドージコイン) ミームコイン $315M XRP(エックスアールピー) L1・インフラ $143M PUMP ミームコイン $111M MEGA(MegaETH) その他暗号資産 $105M HYPEは、Hyperliquid自身のネイティブトークンで、週次取扱高$1.38Bと第3位に位置しています。また、ミームコインの取引も活発で、PUMP・DOGEといった銘柄が上位に入っています。 ミームコインは、特定のインターネットミームやキャラクターを題材にした暗号資産で、事業価値(ファンダメンタルズ)を持たず投機的な色合いが強い銘柄です。機関投資家は、コンプライアンスやリスク管理の観点からこうした銘柄を運用対象に組み込むことが難しく、主に個人投資家によって取引される傾向があります。つまり、Hyperliquidが機関投資家層だけでなくリスクの高い投機的な取引を受け入れるようなユーザー層にも広く利用されていることを示しています。 既存の金融からみる可能性 Hyperliquidが従来の暗号資産の分散型取引所(DEX)と一線を画すのが、暗号資産以外の金融商品への展開です。先述した通り、現時点ではまだ0.1%程度に満たない中ですが、金・原油・株式・為替といった従来型金融商品のパーペチュアル先物を取引できる点は、既存金融の観点から複数の重要な含意を持ちます。 以下では、24時間取引・アクセシビリティ・商品多様性の3点から整理します。 24時間365日のグローバルな取引 従来の金融市場は各取引所の営業時間内に限られており、土日・祝日は取引できない商品がほとんどです。コモディティ先物の主要取引所も週末は休場します。 一方、Hyperliquidは土日・祝日を問わず、24時間365日取引が可能です。オンチェーンデータから、実際に土日も相当規模の取引が行われていることが確認できます。 曜日別・カテゴリー別 平均日次取引高(既存金融商品) カテゴリー 平均(月〜金) 土曜日 日曜日 土日の比率 コモディティ $147M/日 $21.4M/日 $49.0M/日 約15〜33% 株価指数・ETF $68.9M/日 $13.3M/日 $19.3M/日 約19〜28% 株式 $12.9M/日 $2.0M/日 $2.5M/日 約15〜19% 外国為替 $5.73M/日 $3.9M/日 $8.0M/日 約67〜139% 特筆すべきは外国為替(EUR・JPY)で、土日の取引量は、平日と同水準、あるいはそれ以上となっています。コモディティ(金・原油など)の土日取引も平日の15〜30%程度を維持しており、休場なしの取引インフラとしての需要が、オンチェーンデータ上で確認できます。 タイムゾーンの異なる投資家が既存取引所の開場時間に縛られることなく、必要なタイミングで取引できる環境によって米国株・コモディティ・為替を問わず、24時間いつでもパーペチュアル先物にアクセスできる点は、グローバル展開を見据えた運用において実質的な利点となります。 アクセシビリティの向上 従来の金融サービスには、口座開設審査・最低取引単位・為替手数料などの参入障壁があります。 Hyperliquidでは、ウォレット(暗号資産の財布)とUSDCがあれば取引を開始できる構造となっており、KYC(Know Your Customer:本人確認手続き)は現状プロトコルレベルでは設けられていません。 利用にあたっては、各自の居住国・地域の法令や規制をご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。 取引手数料はパーペチュアル先物の基本ティアでテイカー0.045%・メイカー0.015%と、既存の証券会社や先物取引所と比較しても低水準です。ネットワーク手数料(ガス代)はかかりません。 この構造は、金融インフラが整っていない地域からのアクセスや、少額から多様な資産クラスへの分散投資という観点で評価されています。一方、規制環境の整備状況や各国の法令対応については、引き続き動向を注視する必要があります。 取扱商品の多様化と予測市場・プライベート市場への拡大 既存金融商品のオンチェーン取扱高は、規模・商品多様性の両面から見ても、HyperliquidがDEXの枠を超えた金融プラットフォームとして機能しはじめています。 コモディティ(商品先物) 商品 累計取扱高 SILVER(銀先物) $50.9B(約7.9兆円) CL(WTI原油先物) $46.4B(約7.2兆円) BRENTOIL(ブレント原油先物) $20.7B(約3.2兆円) GOLD(金先物) $11.4B(約1.8兆円) COPPER(銅先物) $2.24B(約3,472億円) NATGAS(天然ガス先物) $1.31B(約2,031億円) PLATINUM(プラチナ先物) $1.13B(約1,752億円) 銀先物(SILVER)の累計取扱高が509億ドルと最大規模で、原油2銘柄(CL・BRENTOIL)を合計すると671億ドルになります。これらのコモディティは、現物購入や既存の先物口座なしで、USDCだけでエクスポージャー(価格変動リスクの取得)を取ることができます。 株価指数・個別株 2025年10月にローンチされたHIP-3(Hyperliquid Improvement Proposal 3)により、外部の開発者がHyperCore上に独自のパーペチュアル先物市場を構築できるようになりました。この仕組みを活用してトークン化された株式・株価指数の取引市場は急速に拡大しており、オンチェーンデータにはNVDA(エヌビディア)・TSLA(テスラ)・AAPL(アップル)など、主要米国株のパーペチュアル先物が多数記録されています。 商品 累計取扱高 XYZ100(株価指数) $36.6B(約5.7兆円) SP500 / USA500(S&P500) $20.5B(約3.2兆円) NVDA(エヌビディア) $4.67B(約7,237億円) TSLA(テスラ) $4.06B(約6,293億円) INTC(インテル) $2.74B(約4,246億円) HOOD(ロビンフッド) $2.54B(約3,934億円) CRCL(サークル) $2.14B(約3,318億円) SNDK(ウエスタンデジタル) $2.07B(約3,209億円) GOOGL(グーグル) $2.02B(約3,129億円) MU(マイクロン) $1.70B(約2,641億円) PLTR(パランティア) $1.26B(約1,950億円) COIN(コインベース) $1.22B(約1,891億円) AMZN(アマゾン) $1.20B(約1,862億円) META(メタ) $909M(約1,409億円) MSFT(マイクロソフト) $826M(約1,281億円) AAPL(アップル) $520M(約806億円) 外国為替 EUR(ユーロ)の累計取扱高が8.67億ドル(約1,344億円)、JPY(日本円)が7.53億ドル(約1,167億円)と、為替取引も相当規模で行われています。これらは既存のFX市場と同様の価格追従性を持ちながら、24時間365日取引可能という特性を持ちます。 プライベート市場(未上場企業株) Hyperliquidでは、OpenAI・SpaceX・Anthropicといった未上場ユニコーン企業株の価格に連動したパーペチュアル先物を取引することができます。 銘柄 企業概要 累計取扱高 ANTHROPIC Claude(AIアシスタント)開発元 $44.9M OPENAI GPT・ChatGPT開発元(評価額約3,000億ドル) $40.2M SPACEX イーロン・マスク創業の宇宙開発企業 $39.8M 従来はこれらの企業株に対して一部の機関投資家や大口投資家しかアクセスできませんでしたが、Hyperliquidでは、個人投資家でも、少額から価格変動リスクへアクセスできます。ただし、あくまでパーペチュアル先物(価格連動型の取引)であり、実際の株式を保有・議決権行使することはできません。また、参照価格の信頼性や流動性リスクには注意が必要です。 Hyperliquidにおける既存金融商品 累計取扱高トップ12 HIP-4 予測市場への参入 さらに注目すべき動きが、2026年5月2日にローンチされた「HIP-4(Hyperliquid Improvement Proposal 4)」です。HIP-4は、将来の出来事(イベント)の結果に応じてYes/Noで決済される「アウトカム市場(Outcome Markets)」を導入する提案です。これは、いわゆる「予測市場(Prediction Market)」とほぼ同義の機能を持ちます。 ローンチ当初の取扱市場は「BTCの日次価格予測(UTC 06:00決済)」のみですが、将来的には暗号資産マイルストーン・マクロ経済指標・スポーツ・選挙結果など多様なイベントへの展開が予定されています。また、HIP-3と同様に、将来的にはユーザーが独自に予測市場を開設できる「パーミッションレス(許可不要)」モデルへの移行も計画されています。 ローンチ初日のデータでは、Hyperliquidの予測市場は約605万コントラクト(1コントラクト≒1円換算のバイナリ型)を記録。現時点での規模はPolymarket(1億9,000万コントラクト)やKalshi(5億4,600万コントラクト)と比較すると小さいですが、Hyperliquidのオーダーブック型インフラとDEXとしての流動性を活かした今後の成長が注目されます。 関連記事:「予測市場Polymarketの成長と日本市場への示唆【Onchain Report】」予測市場の仕組み・Polymarketの成長・日本市場への示唆について詳しく解説しています。 まとめ Hyperliquidは、「暗号資産の取引所」という枠を超え、グローバルな金融インフラとして急速に存在感を高めています。 観点 従来の金融 Hyperliquid 取引時間 平日の限られた時間帯 24時間365日 アクセス 口座開設・審査が必要 ウォレットとUSDCのみ 最低取引単位 銘柄により数千〜数万ドル 1ドル未満から可能 取扱商品 各国規制に基づく許認可商品 暗号資産・株式・商品先物・為替・未上場株 透明性 取引所の内部処理 全取引がオンチェーンで公開 資産管理 金融機関が管理 ユーザー自身が管理 もちろん課題もあります。規制の不透明さ、スマートコントラクトのリスク、流動性の偏り、参照価格の信頼性など、既存金融と比べて未成熟な部分は少なくありません。しかし、累計取扱高4.18兆ドル、Bridge TVL約49.2億ドル(約7,626億円)という実績は、単なる投機的ツール以上のものとして機能し始めていることを示しています。 金融の「包摂性(Financial Inclusion)」──すなわち、世界中の誰もが公平に金融サービスにアクセスできる世界の実現──という観点において、Hyperliquidは一つの有力な解となりうるDEXといえるでしょう。今後の規制対応と商品ラインナップの拡大が、さらなる資金流入と市場参加者の多様化をどこまで促進するか、金融業界・Web3業界の双方から引き続き注目されます。 免責事項 本レポートは、キリフダ株式会社が情報提供を目的として作成したものです。 本レポートの内容は、人工知能(AI)を活用して生成・編集されています。情報の正確性・完全性については万全を期しておりますが、AIによる生成物であることの性質上、誤りや不正確な情報が含まれる可能性があります。内容については必ずご自身でご確認ください。 本レポートは、特定の金融商品・暗号資産への投資を勧誘・推奨するものではありません。掲載されている情報は、いかなる投資判断の根拠となるものでもなく、投資に関する最終的な決定はご自身の判断と責任においてお願いいたします。 暗号資産への投資には価格変動リスクをはじめとするさまざまなリスクが伴います。投資を行う際は、関連法令・規制を遵守の上、必要に応じて専門家にご相談ください。 © 2026 キリフダ株式会社 All Rights Reserved. References [Dune] オンチェーンデータ:Dune Analytics(Coincheckメディア公式ダッシュボード) —dune.com データ更新日:2026年5月11日。1USD≒155円で換算。 [1] Hyperliquid創業経緯:Wu Blockchain Exclusive Interview / Fortune / PANews —chaincatcher.com [2] 技術スペック・取引手数料:Hyperliquid公式ドキュメント —hyperliquid.gitbook.io fees ページ —hyperliquid.gitbook.io [3] HIP-4(アウトカム市場):Hyperliquid公式ドキュメント HIP-4ページ —hyperliquid.gitbook.io [4] HIP-3/HIP-4概要:CoinGecko Learn —coingecko.com [5] HIP-4市場シェア:Cryptopolitan —cryptopolitan.com [6] 東証株式売買代金:日本取引所グループ 統計月報 —jpx.co.jp

本レポートは、分散型予測市場「Polymarket(ポリマーケット)」の急拡大を、オンチェーンデータを手がかりに整理したものです。 なぜ従来型の予測市場が抱えた課題を超えて流動性が拡大したのか、取引はどのカテゴリに集中しているのか、予測精度と市場操作リスクはどう議論されているのかを順に見たうえで、日本市場で同様の仕組みをそのまま持ち込む際の制度的な論点と、設計上の示唆(2ポイント制)に触れます。 なお本記事は情報提供を目的とした調査・解説であり、特定の金融商品や暗号資産の投資を勧誘するものではありません。 このレポートでわかること Polymarketの成長が、オンチェーンデータ上でどのように確認できるか 予測精度や市場操作リスクなど、解釈に効く論点 日本で同様の仕組みを検討する際の規制上の前提と、設計面の一つの方向性 Coincheckの無料登録はこちら 目次 Polymarket(ポリマーケット)とは なぜ今、Polymarketなのか Polymarketの全体像とメカニズム 予測市場の仕組み 取引の仕組み 市場の形式 収益モデル 予測市場が求められる背景 予測市場が情報源になる理由 既存の金融商品では取引できないリスクをカバー 実際にどれくらい伸びているのか 取引高・ユーザー数の推移 PolymarketとKalshiのサービス特性比較 具体的にどうして伸びているのか タグ別取引額 ユーザーの特性 具体的なユースケース 予測精度と市場操作リスク 予測精度 市場操作リスク 日本市場における課題と具体的アプローチ 日本の規制障壁 設計上の工夫としての2ポイント制 まとめ|Polymarketの成長実感と日本展開の論点 免責事項 References Polymarket(ポリマーケット)とは Polymarketとは、選挙の行方や経済指標の結果など、これから起こりうる出来事について、参加者同士がシェアを売ったり買ったりしながら、「どれだけ起きそうか」を価格として見える化していく、ブロックチェーン上の予測市場です。 これまでには、法定通貨を中心とした中央集権型のサービスや、初期の分散型プロトコルで、流動性の育ち方や結果の確定の仕方などに課題が指摘されてきました。Polymarketでは、注文のマッチングやオラクル設計といった仕組みを組み合わせることで、そうした制約の一部を緩め、取引しやすさとサービスの広がりを後押ししている、という見立てができます。 項目 内容 プラットフォームの種類 ブロックチェーン上で稼働する予測市場。取引・精算にスマートコントラクト等を利用する。 取引の対象 将来の現実世界の出来事の結果。政治、地政学、マクロ、スポーツ、文化など幅広いテーマが扱われる。 決済手段 主としてステーブルコインのUSDC(オンチェーン)。 価格の意味 YES/NO等のシェア価格は需給により変動する。Polymarketの公式説明では、価格は当該出来事が起きる確率の目安として読み取れる、とされる。 精算 マーケットが解決したのち、的中した結果のシェアには原則として1シェアあたり1 USDCが支払われる設計となる。外れたシェアは価値を失う。 出典:Polymarket公式ドキュメント「What is Polymarket」 なぜ今、Polymarketなのか 世論調査もメディアも、バイアスや遅効性という構造的な限界を抱えています。こうした中、「ある事象が起きる確率は何%か」をリアルタイムで数値化するプラットフォームとして急成長しているのが、分散型予測市場「Polymarket(ポリマーケット)」です。 2024年の米大統領選において世論調査を上回る精度で結果を反映したと評価されたことで注目を集め、その後も地政学・マクロ経済・スポーツと取引対象を拡大し続けています。一時的なブームではなく、世論と金融が交差する新たな情報インフラとして定着しつつあるとの見方もあります。 以下では、仕組みとトラクションをさらに分解し、日本国内での展開をめぐる規制上の論点まで踏み込みます。 Polymarketの全体像とメカニズム Polymarketがこれほどの流動性と信頼を獲得できた理由は、先行サービスの失敗を設計で克服した点にあります。 法定通貨建ての中央集権型サービスIntradeは、運営会社への資金依存リスクから2013年に閉鎖に至りました。ブロックチェーン型のAugurは分散型という点では前進の一歩となったものの、オンチェーンオーダーブックの使いづらさとオラクルの解決遅延がプロトレーダーの参入を妨げ、流動性は十分には育ちませんでした。 Polymarketはこの2つの失敗を教訓に、CLOBとUMAオラクルの組み合わせによって、初めてこの壁を乗り越えたと位置づけられています。 予測市場の仕組み Polymarketの市場は、特定の未来の出来事(例:「2024年の米国大統領選挙でトランプが勝利するか?」)に対して「YES」か「NO」のシェアを取引する場です。シェアの価格は0〜1ドルで変動し、的中すれば1ドル、外れれば0ドルになります。 「市場は60%の確率で事象Aが起こると予測している」という状態は、具体的に以下のような取引の流れで形成されます。 市場の開始「トランプが勝利するか?」という市場が立ち上がります。 価格の形成多くの参加者が「トランプが勝つ」と考え、YESシェアを買い求めます。需要が高まるとYESシェアの価格は上昇します。 確率の可視化YESシェアの価格が「0.60ドル(60セント)」で取引されているとします。これは、参加者が「1ドルを得るために、今0.60ドルを支払うリスクを取ってもよい」と判断している状態です。つまり、市場全体として「トランプが勝利する確率は60%である」と評価していることになります。逆に、NOシェアは「0.40ドル」で取引されます(合計が常に1ドルになるため)。 結果の確定選挙が終わり、トランプの勝利が確定すると、YESシェアを持っていた人は1シェアにつき1ドルを受け取ります(0.60ドルで買っていれば0.40ドルの利益)。NOシェアを持っていた人のシェアは0ドル(無価値)になります。 このように、参加者が自らの資金を投じて取引するため、無償のアンケートと異なり身銭をきった確率評価が価格に反映されます。 取引の仕組み 構成要素 機能と役割 従来モデルとの違い CLOB(中央リミットオーダーブック) 買い手と売り手の注文を直接マッチングさせる。 AMM方式に比べ、大口取引時のスリッページを抑制し、プロのトレーダーの参入を促した。 UMA(楽観的オラクル) 「現実に何が起きたか」をオンチェーンに記録する。 中央集権的な運営者ではなく、トークンホルダーによる分散型の合意形成で不正・改ざんを防止する。 Conditional TokensFramework(CTF) ERC-1155ベースのトークン規格。YES/NOシェアの発行・管理・結果確定時の自動精算を担う。 「価格=確率」の仕組みを技術的に支える基盤。条件付きトークンの分割・統合を可能にし、複雑な市場設計にも対応する。 市場の形式 Polymarketが採用するバイナリ・アウトカム・マーケットとは、ある事象が「起きるか/起きないか」という2択に対してシェアを取引する形式です。価格そのものが発生確率(%)として直感的に読み取れる点が、参加者にとっての分かりやすさと流動性の高さを両立させています。 収益モデル 取引手数料(Taker Fees)2026年よりテイカー手数料(0.01%〜)を導入。日次収益が100万ドルを超える日も出ています。 メーカーリベートプログラムマーケットメーカーへのリベート還元により流動性を維持します。 データ収益化リアルタイムの予測データを機関投資家・研究機関等に提供する収益源として拡張可能です。 予測市場が求められる背景 予測市場が情報源になる理由 SNSの普及でフェイクニュースやエコーチェンバーが深刻化する中、ユーザーは専門家の意見や世論調査ではなく、市場参加者が資金を賭けて形成した確率的評価を求めるようになっています。 Polymarketの価格はリアルタイムの先行指標として機能しており、金融機関がニュース速報より先にオッズの変動を確認するケースも報告されています。ただし市場操作リスクが完全に排除されているわけではないため、その点は後述します。 既存の金融商品では取引できないリスクをカバー 現在の金融市場は株価・為替など特定の資産クラスに限定されています。しかし現実のビジネスリスクは「規制の変更」「選挙結果」「地政学的な事象」など、より広範な事象に紐付いています。Polymarketはこれら従来ヘッジ手段がなかったリスクを取引可能なアセットに変えることを実現しています。 具体例:海運会社のリスクヘッジ ある日本の海運会社がスエズ運河の封鎖リスクを懸念しているとします。封鎖されれば迂回ルートで多大な追加費用が発生しますが、従来この地政学リスクを直接ヘッジする金融商品はほぼ存在しませんでした。 Polymarketに「スエズ運河が1週間以上封鎖されるか?」という市場があれば、海運会社はYESシェアを購入することで封鎖時の損失を相殺できます。あらゆる事象を数値化し、直接売買できるようにしたことが予測市場の最大の意義です。 実際にどれくらい伸びているのか データ出典:Dune※Polymarket(Polygon上のオンチェーンデータ)を自社で集計・加工したものです。2026年4月20日時点。 取引高・ユーザー数の推移 オンチェーンデータ上の複数チャートは、以下の2つの成長フェーズを明確に示しています。 フェーズ①:離陸期(2024年〜2024年11月)大統領選に向けた政治市場の立ち上がりで取引高が急増。2024年11月6日(大統領選当日)には単日約3億4,770万ドルのスパイクが確認できます。 フェーズ②:加速期(2025年〜現在)選挙後も成長は継続し、むしろ加速しています。累積取引量は2025年以降に急角度の上昇カーブを描いており、月間取引高は2026年3月時点で約100億ドルに達しています。 【主要KPIサマリー】 Polymarketの月間取引高の推移(2026年4月20日時点) Polymarketの月間アクティブユーザー数の推移(2026年4月20日時点) Polymarketの単日最高取引高の推移(2026年4月20日時点) 指標 数値 備考 月間取引高(2026年3月) 約95億ドル — 月間アクティブユーザー(2026年3月) 約78万ウォレット — 1日最高取引高(2026年2月28日) 約4億2,500万ドル イラン関連市場の急騰が契機 PolymarketとKalshiのサービス特性比較 サービス特性と規制体制が根本的に異なります。 比較項目 Polymarket Kalshi 規制体制 暗号資産ネイティブ・分散型。米国向けはQCX, LLC(Polymarket US)がCFTCのDCM認可を取得し(2025年11月)、規制された米国市場への再参入を進行中。 CFTC規制下のDesignated Contract Market(正規の米国取引所) 決済 USDC(ブロックチェーン上) USD(法定通貨・銀行決済) 強いカテゴリ 政治・地政学・暗号資産・グローバルイベント スポーツ・マクロ経済指標(CPI・雇用統計等) ユーザー層 グローバルの暗号資産ネイティブ層 米国の個人・機関投資家 透明性 オンチェーンで取引が完全公開 中央集権型システム。取引の透明性はKalshi社の開示に依存 規制リスク グローバルでの法規制対応が各国ごとに残存 米国内での州レベル訴訟が複数進行中(2026年) KalshiとPolymarketの流通量の比較(USD) 両者の月間取引量を比較すると、2024年〜2025年前半はPolymarketが優位に推移していましたが、2025年9月を境にKalshiが逆転しています。2026年3月にはKalshiが約130億ドル、Polymarketが約95億ドルとなり、取引量においてはKalshiが先行する状態が続いています。ただし両者ともに急成長しており、予測市場全体の拡大を両プラットフォームが牽引している構図です。 上図のように、取引高などはオンチェーン上の活動を集計した結果として示されます。オンチェーンの考え方や、データを確認する際のヒントは、次の記事で整理しています。 初心者でも分かるオンチェーン分析!特徴やデータの入手方法を簡単解説! Coincheck 具体的にどうして伸びているのか データ出典:Dune※Polymarket(Polygon上のオンチェーンデータ)を自社で集計・加工したものです。2026年4月20日時点。 タグ別取引額 取引カテゴリが多様化していることが確認できます。 タグ 特徴・代表的なマーケット Politics(政治) 大統領選、各国議会選挙、政策決定、政府機関閉鎖リスクなど Geopolitics(地政学) 中東情勢(イラン・イスラエル)、ウクライナ停戦、台湾海峡緊張度など Macro/Finance(マクロ) FRB金利決定、CPI・雇用統計の着地、金価格の節目突破など Crypto(暗号資産) BTC・ETHの価格節目、新規上場、規制動向など Sports/Culture スーパーボウル、アカデミー賞、ニッチスポーツイベントなど 政治・地政学・マクロ系が取引額の上位を占める時期がある一方、直近(2026年4月)の24時間取引額ではスポーツが首位となっており、カテゴリ別の順位はイベントの時期によって変動します。 Polymarketの成長は特定イベントへの依存ではなく、複数カテゴリにわたる継続的な取引が支えており、「予測市場を習慣的に使うユーザー」が形成されつつあることを示しています。 Polymarketのタグ別取引額 ユーザーの特性 オンチェーンデータから、参加者の構造が読み取れます。 全ユーザーの約74%が50ドル未満の少額取引に留まっており、ライトユーザーが大多数を占めています。一方、1,000ドル以上の大口ユーザーは全体の約1.7%に過ぎませんが、取引額全体への寄与は相対的に大きいと推察されます。10万ドル以上の超大口はわずか109名であり、少数の大口参加者が市場の一部を牽引する構造です。 Polymarketユーザーの取引サイズ別の人数分布 取引サイズ ユーザー数 割合 $0〜$10 1,152,144 46.6% $10〜$50 683,374 27.6% $50〜$100 201,692 8.2% $100〜$500 327,926 13.3% $500〜$1,000 61,655 2.5% $1,000〜$5,000 40,928 1.7% $5,000〜$10,000 3,187 0.1% $10,000〜$50,000 2,316 0.1% $50,000〜$100,000 153 0.01%未満 $100,000以上 109 0.01%未満 また、以下のチャートは、Polymarketのユーザー継続率を示したもので、Polymarketに参加しているユーザーは次月以降も継続的に利用する傾向にあり、利用した1ヶ月後の継続率は、平均で51.2%、2ヶ月後には39.9%、3ヶ月後では34.8%、6ヶ月後でも22.4%のユーザーが利用を続けています。 多くのアプリケーションは1ヶ月の間に大半のユーザーを失い、継続率を維持することが難しい中、高い継続率を維持しています。 Polymarket利用後の月次継続率 具体的なユースケース ニュースより早く動く先行指標「FRBが来月利下げするか?」のような市場では、専門家の意見が割れていても、Polymarketを見れば市場の確率評価が一目でわかります。地政学リスクにおいても、オッズがニュース速報より早く変動するケースが確認されており、金融機関が先行指標として参照しています。 イベント単位での資金集中取引高チャートでは、大統領選(2024年11月)や中東情勢(2026年2月28日)など特定イベントのタイミングで単日取引高が急騰するパターンが繰り返し確認されています。2026年2月28日の単日取引高は約4億2,500万ドルに達しました。 スポーツ・エンタメの需要取り込みDuneのタグ別取引額チャートでは、Sports/Cultureタグが直近(2026年4月)の24時間取引額で首位となっており、既存ブックメーカーがカバーしきれない領域の需要も吸収していることが確認できます。 予測精度と市場操作リスク 予測精度 暗号資産・金融情報を専門とするFensoryの2026年2月の分析によると、Polymarketは2023年以降に解決された2,847の市場において、Brierスコア0.187を記録しています(Brierスコアは0に近いほど精度が高い)。カテゴリ別では政治市場(バイナリ)が81%の的中率で最も高く、エンタメ市場が62%で最も低い結果です。また、取引量10万ドル超の市場では的中率84%に達する一方、1万ドル未満では61%に低下しており、流動性の深さが精度に直結する構造が明確です。 市場操作リスク TRM Labsは2026年3月のレポート([1])で、Polymarket上で協調的な取引パターンの疑いがある事例を報告しています。2026年2月28日の米国によるイラン空爆前後に、4つのウォレットが約4万ドルを投じて87万2,000ドルを得ており、同一インフラ・同一タイミングでの資金調達と即時出金が確認されています。 一方で、以下の自浄作用も働きます。 逆張りのインセンティブクジラが実態から乖離した価格をつけた場合、他参加者にとってアービトラージの好機となります。 流動性の深化参加者が増えるほど、単独での価格操作に必要な資金量は増大します。 PolymarketおよびKalshiは2026年3月23日に内部者取引防止措置を公表しており、対応は進行中です。ただし操作リスクは解消されておらず、成長と健全性の両立が引き続き課題です。 日本市場における課題と具体的アプローチ 日本の規制障壁 以下は一般的な整理であり、法的助言ではありません。個別の事業判断にあたっては専門家への相談を推奨します。 日本の刑法における賭博罪は、以下の3つの要件が揃った時に成立します。 偶然の勝敗:自分の意思でコントロールできない結果 財物の拠出:お金や価値のあるものを差し出す 得喪の争い:勝者が得をし、敗者が損をする Polymarketの仕組みをそのまま導入すると、暗号資産(財物)を投じて結果(偶然)に賭け、配当を得る(得喪)ため、日本の法令上、賭博罪に該当するリスクが極めて高くなります。 設計上の工夫としての2ポイント制 日本国内で予測市場に類似したサービスを検討する際には、「2ポイント制」と呼ばれる設計アプローチがリスク低減の観点から検討されることがあります。これは、ポイントを予測用と報酬用の2種類に分離し、ユーザーが自己の財産を拠出しない構造をつくるものです。 ポイント種別 取得方法 役割 予測用ポイント ログインボーナス・広告視聴等で無償付与(現金購入不可) 予測への参加に使用。財物の拠出に該当しない。 報酬用ポイント 予測的中時にシステムから付与 一定の条件のもとで特典等に交換される場合がある。 この設計では、ユーザーは自己の財産を直接消費せずに参加するため、一般的には「財物の拠出」に該当しにくい構造と説明されることがあります。 ただし、報酬の内容や交換可能性、運用方法によっては法的評価が異なる可能性があり、賭博該当性が完全に否定されるものではありません。 そのため、実際のサービス設計にあたっては、個別具体的なスキームに基づき、関係法令(刑法、景品表示法、資金決済法等)との関係を専門家とともに慎重に検討することが重要です。 まとめ|Polymarketの成長実感と日本展開の論点 Polymarketの成長は単一イベントへの依存ではなく、タグの多様化と月間アクティブウォレットの継続的な増加によって支えられていることが、オンチェーンデータから確認できます。 予測市場の本質は、世論調査に金融の仕組みを組み込むことで「発言に重みをつける」点にあります。リスクとリターンを伴うことで参加者は真剣に情報を精査するようになり、その結果、確率的評価が高まると考えられています。これはブロックチェーンによる低コストな送金とプログラマブルな金融システムが普及したことで初めて実用規模で実現したものです。 今回のPolymarketに関するオンチェーンデータのダッシュボードはDuneから確認することができます。 免責事項 本レポートは、キリフダ株式会社が情報提供を目的として作成したものです。 本レポートの内容は、人工知能(AI)を活用して生成・編集されています。情報の正確性・完全性については万全を期しておりますが、AIによる生成物であることの性質上、誤りや不正確な情報が含まれる可能性があります。内容については必ずご自身でご確認ください。 本レポートは、特定の金融商品・暗号資産への投資を勧誘・推奨するものではありません。掲載されている情報は、いかなる投資判断の根拠となるものでもなく、投資に関する最終的な決定はご自身の判断と責任においてお願いいたします。 暗号資産への投資には価格変動リスクをはじめとするさまざまなリスクが伴います。投資を行う際は、関連法令・規制を遵守の上、必要に応じて専門家にご相談ください。 © 2026 キリフダ株式会社 All Rights Reserved. References [1] TRM Labs, “How Prediction Markets Scaled to USD 21B in Monthly Volume in 2026” (March 27, 2026) —trmlabs.com [2] Fensory Research, “Polymarket Prediction Accuracy: Complete Track Record Analysis with Brier Score Data” (February 26, 2026) —fensory.com [3] 株式会社gumi, “予測データサービスの開発を決定” (2026年3月) —gu3.co.jp [4] 緒方法務事務所, “暗号資産でレバレッジ取引を提供するなら?” —ogata-legal.com [Dune] team_onchain_planning, “予測市場PolyMarketの概況” —dune.com